【無料】フリーのアンプシミュレーターおすすめ10選

「アンプシミュレーター フリー」と検索した事があるギタリスト DTMer の方は多いのではないでしょうか。そんな皆様へ、アンプシミュレータープラグインの記事を多く書いている私から、フリーのアンプシミュレーターに絞ったおすすめを紹介させて頂きます。

なお、有料製品のフリートライアル版やデモ版は除外しています。

有料製品のガチおすすめ集は下記記事で紹介しています。こちらもよろしければ。

フリーのアンプシミュレーターを使う前に

アンプキャビネットのイメージ

フリーのアンプシミュレーターを使う前に、IR を用意しましょう。

フリーのアンプシミュレーター全般に言えることになりますが、必要な機能のみ(具体的にはアンプ部分のみ)を搭載したプラグインが多いです。

つまり、キャビネット部分は別途用意する必要がある場合が多いです。(※各種エフェクター類も同様です)

そのためキャビネットシミュレーターの役割を担う IR Loader プラグイン及び IR (インパルスレスポンス) ファイルが必要になります。

ここで言う IR とは、キャビネットの音響特性をキャプチャしたデータのことです。詳しくは下記記事を参考にして頂ければと思います。

中にはキャビネットシミュレーターや IR が付属しているものもありますが、いずれにしてもキャビネット部分はチープな場合が殆どなので、自分で IR を用意した方が有意義です。

逆に言えば、良い IR を用意できればフリーアンプシミュレーターでも十分戦っていけるサウンドを作ることが可能になります。

音作りにおけるキャビの重要度って高いですからね。

上記の記事でも紹介していますが、持っていなければフリーの NadIR というプラグインをインストールしておくと良いでしょう。フリーですが使えるレベルの IR データが付属しており使い勝手も良い優良プラグインです。

フリーのアンプシミュレーターおすすめ

では紹介していきます。

Ignite Amps (STL Tones) – Emissary

Emissaryのイメージ

無料でありながらかなり健闘しているものとしてまず挙げたいのがこちらの Emissary というアンプシミュレーター。

(※元々 Ignite Amps というデベロッパーの商品ですが、現在は STL Tones でも取り扱っています)

いかにもハイゲインアンプっぽい見た目の通り、ENGL などに通じるようなユーロ系の密度が濃い端正でガッツリとしたハイゲインサウンドが特徴的なメタル系のアンプです。

メタル専門であればこれで十分、というかむしろ積極的な選択肢に入れて良いレベルで良い音していると思います。

キャビネットシミュレーターは付属していませんが、冒頭でも触れた同社の NadIR と実質的にセットの商品といった感じです。

レビュー

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Nembrini Audio – Crunck V2 Guitar Amplifier

Nembrini Audio Crunck V2のイメージ

Brainworx 製のアンプシミュレーターの開発に関わっていたりする Nrmbrini Audio によるフリーアンプシミュレーターです。ハイゲイン専用。

フリープラグインらしく必要最低限の機能のみを搭載したシンプルなプラグインで、見た目はチープですが、ハイゲインサウンドの格好良さは上記の Emissary にも引けを取らないレベルで健闘しています。

Emissary がユーロ系の高密度なハイゲインサウンドなのに対し、こちらの Crunck-V2 はアメリカンなカラッとしたハイゲインサウンドが特徴です。

レビュー

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ML Sound Lab – Amped Roots Free

Amped Roots Freeのイメージ

ML Sound Lab という比較的新しいアンプシミュレーター専門系のデベロッパーが出しているフリー版のアンプシミュレーターです。

アンプシミュレータープラグインとしては珍しい EVH 5150 III (EL34) をモデリングしていますね。

ハイゲイン1チャンネルのみでメタル専用となりますが、無料アンプシミュレーターとしては唯一とも言える、2010年代以降の、つまり Djenty な質感対応のブライトで明瞭なモダンハイゲインサウンドを得意としています。

やや傾向は異なるもののクオリティは上記2機種を凌駕すると言って良いレベルです。

レビュー

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Black Rooster Audio – Cypress TT-15

Cypress TT-15のイメージ

アンプシミュレーター界では珍しい Orange の Tiny Terror をモデリングしたであろうアンプシミュレーターです。クランチ~ハイゲインまで対応可能。

Black Rooster Audio という品質に定評のあるデベロッパーによるプラグインだけあって、うまく使えればこれで十分な音が作れてしまうほど。

Orange っぽいジュブジュブ感や、Tiny Terror らしいミドルのモッコリ感もよく再現されています。

Amplitube Orange にも Tiny Terror のモデルがありますが、無料でありながらあちらと比べてもかなり健闘しています。むしろ使いこなせればこちらの方が潜在能力は高いかも知れないと思えるほど。

ノイズ量がやや多めだったり、付属のキャビネットシミュレーターはチープだったりとデメリットもあるので、使いこなすのは若干難しいですがポテンシャルはかなり高いです。

レビュー

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Kuassa – Amplifikation Lite

Kuassa Amplifikation Liteのイメージ

安価でそこそこ高品質なアンプシミュレーターやエフェクトプラグインを作っている Kuassa。元々はフリープラグインからスタートしたデベロッパーです。

そんな Kuassa の原点ないし原点回帰ともいえるのが現行フリープラグインの Amplifikation Lite です。

シンプルな機能、UI ですがこれ1台でクリーン・クランチ・ハイゲインと対応可能な万能型。フリーにしてはキャビネットシミュレーターもそこそこ優秀です。

やや硬めなカラッとした軽快なサウンドキャラクターで、強い個性こそないですがそのぶん無難に扱いやすい Kuassa らしいアンプだと思います。

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Blue Cat Audio – Blue Cat’s Free Amp

Blue Cat's Free Ampのイメージ

Blue Cat Audio という、ちょっとマイナーですが時々面白い発想の製品を出してくるデベロッパーがおりまして、そこのフリー版アンプシミュレーターです。

Classic Clean(クリーン系)、Classic Drive(プレキシ系)、Modern Drive(ハイゲイン系) と、フリーでありながらもアンプモデルが3つ収録されているのが強み。

音はまあ、無料なりのチープな感じは否めないというのが正直なところです。

しかし、硬めのソリッドなクリーンはちょっと JC っぽい感じがして嫌いじゃないです。プレキシ系もうまくリバーブを組み合わせると結構綺麗に鳴らすことが出来ます。フリープラグインとしてはここが貴重なポイントと言えます。

一方でハイゲイン系は他にもっと良い選択肢があるので、敢えて使う理由はないでしょう。

あと、GUI を透過できる謎の機能付きです。この機能は何用なんだろう?

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NaLex – Ninja / Amplex

NaLex Ninjaのイメージ

NaLex Amplexのイメージ

比較的最近現れた個人のデベロッパーで情報が少ないですが、海外のメタル系 Youtuber 界隈等でにわかに話題になっている NaLex。

メタル系を中心に高品質なフリーアンプシミュレーターを複数公開していますが、その中から代表して2機種を紹介します。

1つめは、Ninja (海外のメタラーって何かと忍者が好き?) 。ゴリゴリのモダンエクストリームメタル系で、かなりモダンかつかなり過激な音像です。デスコアなどに良さそう。

もう1つは、マルチアンプこと Amplex。こちらは NaLex 製の他のアンプシミュレーターをプロファイリング形式で読み込めるイマドキ仕様のアンプです。

プロファイリングの選択肢は Gerbert (Diezel Herbert), Uber (Bogner Uberschall), Pectifier (Mesa/Boogie Dual Rectifier), Crunchman (Friedman BE-100)(※括弧内はモデリング元と思われるもの)など錚々たるメンツ。音もかなり良いです。

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Nick Crow Lab – 7170 / 8505

Nick Crow Lab 7170のイメージ

Nick Crow Lab 8505のイメージ

個人のデベロッパーで、公式サイトの UI がなんとも言えない感じですが、決して怪しいサイトではありませんのでご安心を。

そんな Nick Crow Lab から紹介したい 71708505 ですが、それぞれ品名の数字から 2000 を引くと…

51506505 という Peavey の名作ハイゲインアンプが出てきます(笑)

音は結構健闘していて、カラッとしつつも粘りのある Peavey っぽいハイゲインサウンドの特徴をそれなりに捉えていると思います。レゾナンスとプレゼンスがないのがちょっと残念ではありますが、結構良い音していて気持ち良いです。

7170 は前に出てきてワイルドな感じ、後発の 8505 はより立体感があります。どちらが良いかは好みですが、個人的には 8505 が好きです。

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LePou Plugins 各種

LePou LE456のイメージ

一昔前まではフリーアンプシミュレーター界で恐らく最も有名だったであろう LePou Plugins。現在公式は消滅してしまいましたが、まだダウンロード可能なので紹介します。

ここではハイゲイン系を中心にいくつかのフリーアンプシミュレーターを扱っています(いました)。

上記イメージにも使用した ENGL 系の LE456 や、Mesa/Boogie Rectifier 系の LeCto、Bogner 系の LeXTAC などが有名です。

音はサッパリした明瞭なトーンで扱いやすく、シンプルな格好良さ。Amplitube に近い方向の味付けかなと思います。

古い無料プラグインということでリッチな感じでこそないですが、十分良い音です。

入手先

VST 4 FREE にアーカイブが残っており、現在はこちらからダウンロード可能です。

Ignite Amps – SHB-1

Ignite Amps SHB-1のイメージ

ベース枠。上述の Emissary も手掛けている Ignite Amps によるベースアンプヘッドのプラグインになります。

音の傾向はややモダンでゴリッとしたキャラクターですが、比較的守備範囲は広め。

アンプシミュレータープラグイン、且つフリーとなると非常に選択肢が限られてくるベースアンプ分野ですが、この SHB-1 は非常に出来が良く、有料製品とも真っ向勝負できるレベルだと思います。

レビュー

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おわりに

いかがでしょうか。フリーのアンプシミュレーターも探すと色々なものが見つかります。

特にハイゲイン系はフリーでも選択肢が豊富かつ良いものが多いですね。

とはいえ個人的には、フリープラグイン沼にハマること自体はあまりおすすめできないので、今回のエントリーに関してはある程度数を絞って紹介させて頂きました。

というのも、LePou Plugins が良い例ですが、個人のデベロッパーだと突然更新されなくなったり消滅してしまうリスクが常に付き纏います。また IR を持参する必要がある場合が多い点を考慮しても、あえて無料にこだわる理由はそこまでないからです。

しかし、今回紹介したプラグインはフリーでありながらも比較的扱いやすく且つ本格的に使っていけるものばかりです。無料で開発や公開をしているデベロッパーの方々には本当に頭が下がります。

気になるものがあったら是非使ってみてください。