キャビネットIRとは?【おすすめの入手先を紹介】

アンプシミュレーターでギターやベースをよりリアルに鳴らす手段として、「キャビネットIR」を利用するという方法があります。今回はキャビネットIRとは何か、またおすすめの入手先について紹介します。

キャビネットIRとは

キャビネットのイメージ

私自身も DTM を始めて暫くはよく分かっていなかったのですが、キャビネット IR とは一体何でしょうか?

まず IR という言葉ですが、ここでは Impluse Response(インパルス・レスポンス)の略になります。

世の中には、「IR」を略に持つ言葉がいくつかありますが、音楽では専ら Impluse Response(インパルス・レスポンス)のことを指します。

で、このインパルス・レスポンスとは何かというと、空間の音響特性をキャプチャしたデータです。IR リバーブなんていうものもありますよね。

したがってキャビネット IR というものは、キャビネットの音響特性をキャプチャしたものになります。

つまり、キャビネットから鳴らした音をマイクで拾った際の音響特性をキャプチャしたもので、もっとザックリまとめるとキャビネットをデジタルデータ化したものです。

※正確には、マイクを始め、ケーブルやその他の周辺機材・環境による影響も全てキャプチャされています。

キャビネットIRでリアルなギターサウンドが得られる

アンプシミュレーターソフトについてくるキャビネットシミュレーターはあくまでシミュレーターですが、キャビネット IR は実機のデータです。

例えば、マーシャルのキャビネットから SM57 で集音した IR データを使うことで、マーシャルのキャビネットから SM57 で録音した音がPC上で出せるわけです。

キャビネットって、エレキギター/ベースの音作りや質感においてメチャクチャ重要で、実はアンプヘッド部分よりも最終的なキャラクターを大きく左右します。

特に、スピーカーの箱鳴りや、一度空気に放たれてからマイクで集音される事による空気感といったものは、シミュレーターなどのデジタル技術では再現が難しい部分です。

この部分に、本物のデータを持ち込めるというのは、なかなか効果絶大なんですよ。

実際高価なアンプシミュレーターソフトであっても、キャビ部分を IR に変えるだけで音がグッとリアルになったりするんです。

キャビネットIRの使い方

IR Loaderのイメージ(NadIR)

そんなキャビネット IR はどうやって使うのかというと、 IR Loader(IRローダー)を使って読み込みます。

IR Loader に IR データを読み込んで、それをキャビネットシミュレーターとして使う感じですね。

アンプシミュレーターに IR Loader が備わっている場合もありますが、単体の VST プラグインとしも存在しています。

IR Loaderがアンプシミュレーターに付属している場合

アンプシミュレーター内に IR Loader 機能が備わっている場合は、そこから IR データを読み込めばOKです。

下記イメージは BIAS AMP ですが、このように最近のアンプシミュレーターソフトは IR Loader が備わっていることが多いです。

アンプシミュレーター内IR Loaderのイメージ(BIAS AMP)

Axe FX や Kemper といったハードのアンプシミュレーターでも IR Loader が備わっている場合があります。

VSTプラグインのIR Loaderを使う場合

単体の VST プラグインとして存在している IR Loader を使う場合は、アンプシミュレーターのキャビネットを OFF/Bypass にして、後段にプラグインを挿せばOK。

単体 VST プラグインの IR Loader としては、フリーソフトの「NadIR」などが有名です。下記で詳しく紹介しています。

キャビネットシミュレーターをBypassする

Amplitube などの IR Loader が備わっていないアンプシミュレーターは、上記の通りキャビネットシミュレーターを OFF または Bypass にします。

この状態で、DAW の エフェクトスロット後段に IR Loader プラグインを挿すということです。

イメージは Amplitube 3 のもので古いですが参考までに。

キャビネットをバイパスするイメージ(Amplitube)

ストンプ(実機)でもIRが使えます

なんと、足元用のエフェクターにもキャビネットシミュレーターが存在しています。実機アンプをライン録音する時に活躍するやつですね。

つまり「キャビネットシミュレーターというエフェクター」なのですが、良い物だと IR Loader がついていて、USB等からパソコン上の IR データを取り込むことが出来ます。

エフェクター界隈はピンキリなので買うならちゃんとしたものを買っておきたいですが、Two Notes が有名ですね。ギタリストならこちらも1つ持っておくと良し。

キャビネットIRの入手方法

ここからは具体的な IR データの入手方法について紹介します。

IR データの入手方法は、ネット上のショップや個人サイトからデータを購入する になります。

販売元は海外サイトが大半ですが、時々日本のサイトもあります。

ちょっと敷居が高いように思えるかも知れませんが、大丈夫です。PluginBoutique 等で通販するのと同じように、イマドキはオンラインでサッと購入できます。

個人から購入する際も然り。大体の場合は何かしらの販売プラットフォームを利用していらっしゃるので普通に通販感覚でポチればOKです。

コスト感は意外にもリーズナブルで、ショップにもよりますが単品購入で概ね1000円前後であることが多いですね。

おすすめのキャビネットIR入手先

ということで、おすすめのキャビネット IR 入手先をいくつか紹介していきたいと思います。

同じキャビネットの IR でも、デベロパーによって音が結構変わってくるので、是非お気に入りを見つけてください。

Joey Sturgis Tones (JST)

まずはプラグイン屋さんで売っている敷居の低いものから。

メタルコア系で有名なプロデューサー Joey Sturgis 氏のプラグインデベロッパー JST 製の IR は、PluginBoutique や PluginFox で購入可能です。

JST はアンプシミュレーターの Toneforge シリーズも良いです。バキバキのモダンメタル系におすすめです。

Celestion Plus

老舗スピーカーメーカーの Celestion が自社製品の IR データを販売しています。しかも専用サイトを設ける気合の入れっぷり。

Celestion のスピーカーは Greenback や Vintage 30 など、多くのギターキャビで使用されている名機ばかり。そして BIAS AMP Elite でも実証されたクオリティの高さ。

個別記事書いてますのでこちらも参考にしてください。

Redwirez

IR 販売の老舗ショップ。昔からあるので IR といったらまずは Redwirez かなという個人的なイメージもあります。

主要なモデルは大体網羅しているのではないかと思います。長らくサイトデザインが古かったですが最近ようやくリニューアルされました。

OwnHammer

IR 販売の老舗ショップその2。こちらも種類がかなり豊富です。Ampeg の2発4発が珍しいですね。

無料のものも若干あります。Youtube に参考動画多数あり。

Lancaster Audio

IR や Kemper のプロファイルを販売しているショップです。オリジナルの IR Loader プラグインも配布しています。

品揃えが非常に豊富です。オリジナルの改造キャビネットを使用した IR の他、リプレイス用スピーカーの Warehouse Guitar Speakers の製品を各メーカーのキャビネットへ差し替えた IR を販売しているのが非常に面白いです。

Dr. Bonkers Soundlab

他にあまりないちょっと変わったセレクトが魅力です。かつ安い上にセールを行っている率も高いです。

特に Orange のベースキャビネット(OBC810)はここでしか見たことがないですね。

頻繁に(ほぼ常時?)セールをやっており、基本的なお値段もリーズナブルでコストパフォーマンスが良好です。

F884 Sound Lab

国内の IR 販売ショップです。

説明ページを見ても分かる通り、かなり専門的な知識を持とに、品質にこだわられているショップさんです。

Seacow Cabs

個人デベロッパーですが、HESUDarkglass といった他であまり見かけないモダンなキャビネットを扱っています。

業者のものに比べるとやや音質は劣るものの、殆どが無料配布になっています。

投げ銭できるので気に入ったら是非サポートしましょう。

まとめ

キャビネット IR を取り入れることで、ギター・ベースのサウンドを DAW 上でよりリアルに鳴らすことが出来るようになります。

持っているアンプシミュレーターの音作りを拡張できるという意味でも○。

また、ソフト備え付けのシミュレーターでなく、実際に欲しい・使いたいキャビのデータを入手することが出来る点は機材好きにとってちょっと嬉しいポイントですね。

意外とリーズナブルなのもありがたいポイントです。

是非、IR を導入してサウンドクオリティを上げていきましょう!