【Black Rooster Audio】Cypress TT-15 レビュー【Tiny Terror】

Black Rooster Audio 製のフリーアンプシミュレーター、Cypress TT-15 について紹介したいと思います。当サイトでは予てよりおすすめとして名前を挙げていますが、改めて詳しく見ていきます。
Cypress TT-15 とは
Cypress TT-15 は、Black Rooster Audio がフリーで公開しているギター用アンプシミュレータープラグインです。
商品名、GUI、商品説明などを見る限り、Orange の Tiny Terror をモデリングしていると思われます。
Orange 系のアンプシミュレーター自体そこまで数が多くないですが、中でも Tiny Terror のモデリングは貴重な存在だと思います。私はこれの他には Amplitube Orange のもの位しか知りません。
そんな貴重なモデリングのアンプシミュレーターが無料で使えるのだから最高ですよね。しかもデベロッパーは品質に定評のある Black Rooster Audio です。
Tiny Terror について
Orange Amps がかつて販売していたコンパクトな 7~15W のギターアンプです。コンパクトサイズアンプの名機といって良いでしょう。
手提げかばんくらいのサイズで持ち運びにも便利なサイズ感でありながら結構太い音が出るのが魅力のアンプ。
クランチ~オーバードライブくらいまでが得意なアンプですが、オーバードライブペダルと組み合わせたハイゲインサウンドもガッツがあって格好良く、ハードコア界隈等でもよく使われている印象です。
Tiny Terror 自体は2016年頃に販売終了してしまいましたが、その後もバリエーションに富んだ後継機が出続けています。中古品は比較的流通しています。
Cypress TT-15 の特徴と使い方
GUI はシンプルにアンプビューのみになります。
緑系の変な色合いをしていますが、全体的に Tiny Terror を踏襲しているのがなんとなく分かるかと思います。
操作もシンプルですが、操作項目が大きく左右のセクションに分かれているので、それぞれ見ていきたいと思います。
左側セクション
左側のセクションは機能系。
3つの項目はそれぞれ以下のような感じです。
- POWER:プラグインのオンオフ
- OUTPUT:プラグインのアウトプットボリューム(2段階)
- CABINET:付属キャビネットシミュレーターのオンオフ
CABINET はオフにして後段に IR Loader を挿せば、自分で用意した IR を使用することが出来ます。
右側セクション
右側は主に音作り系です。
項目は GAIN、TONE、VOLUME の3つ。並び順は変わっていますが、項目の種類や挙動は Tiny Terror 準拠になっています。
なお最右にちょこんとある OL はピークメーターです。クリップすると点灯するやつ。
GAIN はオーソドックスな歪み量の調整、TONE は高域特性の調整です。この TONE の挙動は独特で、Orange 系アンプの味の1つですね。
VOLUME はボリュームですが、単純な音量というよりはパワーアンプゲイン的な挙動をします。
上げていくとパワーアンプをプッシュした時のような押し出し感が得られ、ここで歪みを作ることも出来ます。
GAIN で歪ませるか VOLUME で歪ませるかで質感が変わってくるのが面白いポイント。
シンプルな3つのツマミながら音作りの奥が深い、そんな実機の特徴をよく捉えていると思います。やや玄人向けではありますけどね。
Cypress TT-15 の音質と感想
良い点
さすが Black Rooster Audio という感じで、無料といえどもクオリティは高いです。
Orange っぽい、俗にジューシーなトーン等と言われるジュブジュブした感じ、この感じが結構再現されていて良い感じです。
そして何より、Tiny Terror らしい、ミドルに癖があってモッコリした感じがよく再現されています。そうそうこれこれ、この音ですよ、Tiny Terror といえば、みたいな。
TS 系オーバードライブを噛ました時の、押し出し感のあるハイゲインサウンドも良い感じです。オーバードライブペダルは同梱されていないので自分で用意することになりますが、このアンプシミュの魅力を活かすなら是非用意しておきたいところ。
適度に奥行きや立体感もあって、自動オーバーサンプリングがされているせいか解像度感も高めで無料でありながらもチープさは感じません。
というか、2010年代後半の熟成されてきたプラグインらしいリッチ感は感じられると思います。そこは無料でも Black Rooster Audio 製ですからね。
イマイチな点
ただ、扱いやすいかというと、そうでもないんですよね。
標準で付いているキャビネットシミュレーターは癖が強くて音作りが難しいです。CABINET はオフにして自分で IR を用意する方がおすすめです。
また、ノイズ量が多めです。ノイズゲートは同梱されていないので別途用意することが実質マストになると思います。ノイズ処理の設定も多少気を使わないとしっくり来にくいかも知れません。
まあこの辺りは無料なりですね。ですが元音のポテンシャルが高いので、それでも無料プラグインとしては優秀だと思います。
まとめ
無料なりのデメリットというか扱いにくさは多少ありますが、音質に関しては非常にポテンシャルの高いアンプシミュレーターです。
初心者がサクッと良い音を作れるタイプのプラグインでこそないものの、使いこなせれば有料プラグインにも引けを取らない水準で使っていけます。
DTM 界隈では貴重な Tiny Terror サウンドということもあるので、使ってみる価値は十分にあると思います。
Black Rooster Audio は、こんな良いものを出しているのだから、他にもアンプシミュレーター製品を展開していって欲しいですね。