「TSブースター」でハイゲインなギターの質を上げる方法

メタル・ラウド系のギターの音作りをする上で知っておきたいテクニックの1つに、TS ブースターというものがあります。これを使いこなすことでハイゲインサウンドのクオリティをグンと上げることが出来ます。

TS とは?

TS ブースターの TS って何でしょうか?

ラウド系ギタリスト以外には馴染みの薄い言葉かもしれません。

この TS というのは、Tube Screamer の略です。

では Tube Screamer とは何かといいますと、Ibanez 製のオーバードライブペダルです。

こういうやつです。

ibanez tube screamer

いくつか種類があったり、コピーモデルや類似品、インスパイア系(?)などが多く世に出ており、まとめて「TS系」なんて言ったりする感じですね。

TS をブースターとして使う

この Tube Screamer ですが、先述の通り、本来はオーバードライブペダルとして販売されているものです。

しかし、メタル・ラウドの世界ではこのペダルをブースター的に使います。

ブースター的に使い、ハイゲインアンプと組み合わせることで、凄く気持ちの良いハイゲインサウンドを得ることが出来るんですよね。

ブースター的に使うとはどういうことか

オーバードライブペダルである TS をブースター的に使うってどういうことでしょうか。

それはつまり、歪みゼロ、ボリュームMAXで使用するということを意味しています。

下記は TS ブースターとしてド定番、基本のセッティングになります。ここから適宜調整を入れて好みに合わせていっても良いですし、このままでもOK。このようなセッティングをすることで TS ペダルをブースターとして使うことが出来ます。

Drive : 0、Volume : 最大、Tone : 13時くらい

Tone は完全にお好みで良いですが、Periphery のミーシャが13時くらいで使っていることが多く、これが定番設定とされています。

TS ブースターを用いるメリット

ここまで、TS 系オーバードライブをブースターとして使うと良い感じだよということを書いてきました。

では何が良い感じなのかということですが、もちろん音が良いわけですよね。

TS 系オーバードライブのイコライジング的な特徴として、ギターのおいしい成分が持ち上がり、不要な成分が落とされる、という点が挙げられます。

ギターが格好良く聴こえるミドル成分がグッと前に出てきて、籠りやノイズの成分になる低域、高域が丁度良くカットされるんです。

これによって、余計な部分が落とされ、おいしい部分が濃縮された、濃厚かつスッキリとしたパンチのある歪みが得られるんです。

濃縮還元ジュースみたいな感じですかね?

歪がいなたいなーと思うアンプでも TS ブースターをかますことによって化けることがままあります。

デメリットは

オーバードライブペダルをかましている事自体には変わりないので、ノイズは乗りやすくなります。

これをノイズゲートを強くかけてバツっと抑えると、Djenty な感じになったりしますが、Djent系でなくナチュラルにかける感じでもノイズゲートはあったほうが良いと思います。

また、機種にもよりますが、定番の OD808 ペダルなどはゲイン0でも多少歪むので、クリーンブーストをしたい場合は機材選びは慎重に。

まあ、それくらいじゃないでしょうか。

代表的な機種を紹介

ここからは TS 系オーバードライブの代表的な機種を紹介していきます。

Maxon OD808 / Ibanez TS808

中身は同じもののはずですが、Maxon の方が日本製で人気が高いです。

TS 系の原点・オリジナルで、クリーンでは使えませんがゴリゴリな歪みだけを求めるなら恐らくこれが1番格好良いと思います。

Maxon OD9 / Ibanez TS9

これも中身は同じもののはずですが、Maxon の方が以下同

808系よりもハイミッドに特徴があり、キレを重視したい、ギャンギャンいわせたい時はこちらのほうが良いかも知れません。

Maxon OD820

筐体が随分とデカいんですが、個人的に愛用していてイチオシなのがこちら。粘り感とクリーミーな感じが良いです。

Gain 0 で歪みがなくなり、クリーンブーストが出来る OD808 といった感じです。TS ブースターの特徴をクリーンやクランチでも得られるのが強みなのと、これ自体で歪ませないことによって OD808 よりノイズが少なく出来ます。

似たような見た目の OD830 はディストーションなので間違えないよう注意です。

個別紹介記事書いています。

プラグインでもあります

有名なペダルなので、VST プラグインでもちょいちょい出ています。DTMer 的にはこれを紹介しないわけにはいきませんね。

TSE Audio TSE 808

先の説明でも登場したこちらの画像、なんとフリープラグインです。

めっちゃ良いというわけでもありませんが、TS ブースターの旨味を無料でサクッと DAW 上で得られるのは美点ですね。

Mercuriall Audio TSC

こちらもフリープラグインです。UI が格好良いですね。

上記の TSE と比べるともう少し効果を感じやすいかも知れません。大きな差はないですが。

他にもフリーの TS 系プラグインは結構あって本記事を書く際に色々比べてみたのですがどれもそこまで大差ないかなという感じです。

Brainworx bx_greenscreamer

Plugin Alliance からも出ています。

さすが Brainworx といった感じで、フリーのものとは音の立体感が全然違いますね。TS らしい濃厚さもうまく再現されていると思います。

単体プラグインで良いものが欲しい場合はオススメです。

レビュー書きました。

BIAS FX の 808OD

BIAS FX のエフェクト群にも TS があります。まあ、Amplitubeなどパッケージ製品のアンプシミュレーターソフトには大体ありますが。

大型パッケージ製品の一部ではありますが、そこはさすが BIAS クオリティといった感じで、非常に良く出来ていると思います。ガツッとわかりやすく効きますね。

プリセットに入っている適当なアンプにこれ挿すだけで十分使える音になります。

まとめ

ということで、ハイゲインギターのクオリティを上げたい時は、TS ブースターの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

DTMer ならゼロ円からスタートできますし。笑

まあただ、ちゃんと追求したければ実機を買ったほうが良いとは思います。実機はやっぱり2ランクくらい質感が良いですね。(BIAS FX はかなり健闘していますが)

私の場合、敢えて TS を使わずに野暮ったい歪みを用いるシチュエーションもあることはあるんですが、やはり TS の「これぞ」というハイゲインサウンドはとても気持ちよく、常に魅力的だと思います。

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