【JST】Toneforge Guilty Pleasure レビュー【メタル】
JST (Joey Sturgis Tones) のハイゲインなアンプシミュレーター、Toneforge Guilty Pleasure を紹介したいと思います。
Toneforge Guilty Pleasure とは
Toneforge Guilty Pleasure は、JST (Joey Sturgis Tones) が販売している Toneforge シリーズの中の1製品で、メタル特化型のアンプシミュレータープラグインです。
オリジナルのアンプに、エフェクトやキャビネットIR等をひとまとめにして、ギターのトーンを完結できるようにした製品です。
特化型なのであれもこれもと機能や選択肢がある感じではなく、デベロッパー側で厳選したセットという感じですね。公式でもシンプルさを推している印象。
個人的には主に GUI が好きでなんですが😇、荒削りな部分もありつつこれにしかない魅了もあるように感じています。
Guilty Pleasure という名前も…ギルティの喜びってなんか、「食えないかも…」と思いつつも全マシを頼んでしまうジロリアンが連想されて最高です(そんな事を連想するのは自分くらいでしょうが…とりあえず二郎食いたい)
特徴と使い方
Guilty Pleasure はメイン機能が全部で6つのセクションに分かれており、補助機能としてノイズゲートとチューナー、インプットアウトプットの調整が搭載されています。
メインセクションを1つずつ見ていきたいと思います。
オーバードライブ
アンプの前にオーバードライブペダルを1発噛ますことが出来るセクションがあります。
パラメーター的に TS 系かと思ったのですが、TS ブースター的に GAIN 0 & LEVEL 最大で使ってもちょっと違う感じ。全ツマミ12時から調整していった方が良さそうです。
OD ペダルを通した時らしいパリッとした質感を足す時に使うイメージです。基本的には ON にしておくと良さそう。
アンプ
メインのアンプセクションです。この GUI 好きなんですよね😇
ハイゲインの1チャンネルのみで、パラメーターもごく基本的なツマミが基本的にある感じで非常にシンプルです。
基本はハイゲイン系ですが意外と歪みの調整幅は広く、ゲインをかなり抑えることでクリーンっぽくも使えます。
キャビネット
キャビは Mesa と Orange の2種類から選べて、それぞれマイクを4種類から選ぶことが出来ます。マイクポジションの調整は出来ないので、2×4 の全部で8通りの音が選べる感じです。
結構高域の鋭さがあるアンプなので、マイクを off-axis にして少し籠もらせ中和する感じが個人的には好きでした。
サードパーティの IR を読み込むことも出来ます。
エフェクト
ディレイ・リバーブの空間系とワウのエフェクトセクションです。
リードプレイの時に使ってね、という感じだと思います。Guilty Pleasure をリードに使う人がどれだけ居るのかは分かりませんが。
EQ
3バンド+フィルターの EQ が搭載されています。
EQ カーブはちょっとクセがあります。恐らく、カットする直前の帯域で軽くブーストされてからかかる、ブーストする際も直前の帯域で軽くカットされてからかかる感じです。
うまく良い音になれば良いですが、扱いにくいと感じる場合は無理に使わずに別のプラグイン EQ を使った方が良いかもです。
リミッター
最終段でリミッターを挿してダイナミクスを均一化させる事が出来ます。リミッターは恐らく同社の Finality Lite と同等のものではないかと思います。
ただ、元のアンプがダイナミクス皆無な感じのハイゲインサウンドなので、あってもなくてもあまり変わらないような気はします。。
SIGNAL PATH
メインセクションが並んでいる列の下にある SIGNAL PATH と書いてあるところをクリックすると、各セクションのオンオフを設定する画面が現れます。
ちなみに真ん中にある「MAGIC」は、Joey Sturgis 氏の魔法のメソッドです(笑)Toneforge シリーズお決まりの機能ですが、製品のキャラクター付けを大きく司っています。オフにすると全く別のアンプみたいな音になるので不思議。
「Djent以前」のメタルサウンド
音についての所感です。見出しの通りですが、Guilty Pleasure の強みは Djent 系が台頭してくる以前の時代のメタルサウンドが得られる点かなと思いました。
近年発売される機材って、特にDTMやプラグイン界隈のメタル系だと「Djent通過後」のメタルサウンドを打ち出してくることが多いように思います。多弦ギターに最適化された、ソリッドで硬く冷たくクリアな感じのバキッとしたサウンドというか。Neural DSP とか良い例ですよね。
技術の進化と共にそういったクリアなヘヴィサウンドが出せるようになったのかも知れませんが、昔からのラウド/メタルファンにとっての良い音って必ずしもそこではないじゃないですか。
Guilty Pleasure が持つ音は、2000年代~90年代後半のモダンハイゲインサウンド、エクストリームメタルサウンドのイメージに近いと思います。
初期~全盛期のメタルコアやデスコア、ニュースクールハードコア、北欧メロデス、デスラッシュ、ブルータルブラックメタルなどなど…極端にモダンなものではなくて、そういった方向の格好良さです。
具体的な音像でいうと、極端にクリアではなくやや潰れ感がありつつ丸めの音、かつ鋭くエッジの効いた感じ。7弦8弦よりは、6弦ギターのダウンチューニングがよく似合います。
弱みはあるか
Guilty Pleasure のデメリット的な部分ですけれども、あると言えばあるし、ないと言えばない…みたいな。。
強いて言えば、作れる音の方向性は非常に限定的です。方向性については上述の通りですが、それがハマらなければ使い物にならない代物でしょう。
あと心なしかチューナーの精度はちょっと怪しいかも知れません。これはアンプシミュレータープラグイン全般的に多かれ少なかれある話ですが、特に Guilty Pleasure のチューナーはチューニングが難しい&合いにくいような気がします。
まあ殆どのギタリストはペダルチューナーなりで別途チューナーは持っていると思うので、そこまで気にする話ではないと思いますが。
ちなみに CPU 負荷はアンプシミュレーターとしてはやや低めです。(低くはないけどね)
まとめ
かなり気になるんだけど、各種デモ動画を見る感じだとちょっと難しそうかなーと思っていたのが正直なところでした。
しかしそんなことはなかった。デモ動画で見た感じの印象よりも全然良かったです。ゴリゴリにモダンなものと比べるといなたさを感じる部分はあるのですが、使ってみると寧ろそれがとても良い塩梅。
個人的には2000年代のニュースクールやメタルコアなどが大好きなのですが、そういう音にもピッタリなので楽しいです。
非 Djentleman な人にとっては理想的なメタルサウンドが簡単に手に入るアンプシミュレーターに成り得ると思います。