JST Finality【汎用リミッター】【レビュー】

JST (Joey Sturgis Tones) の Finality という汎用リミッタープラグインを紹介したいと思います。用途が合う人には是非知ってほしいプラグインです。

JST Finality とは

JST (Joey Sturgis Tones) から販売されているリミッタープラグインです。

リミッターといってもマスタリングよりはミキシングや音作り用途がメインに想定されており、各種トラックやバストラックに挿してダイナミクスを均す事が目的のリミッターです。公式曰く汎用リミッターという事で、トラックを選ばず使っていけるとのこと。

Lite 版と Advanced 版がありますが、Advanced を買うと Lite も付いてくることに加え、それぞれの価格差を考慮しても、買うなら Advanced 一択かなという感じがします。

元々は同社のアンプシミュレータープラグイン、Toneforge Menace や Toneforge Ben Bruce に搭載されていたもの(Lite 版)で、機能追加をしてより使いやすくしたものが Advanced 版になります。

JST Finality の機能と使い方

白い方が Lite で黒い方が Advanced です。

Lite は見た目が LA-2A に似ていますが、汎用リミッターという商品コンセプトからも分かる通り LA-2A とは全くの別物です

挙動も明らかに違うし公式にもモデリングしているという記載はありませんので、時々ネットで見かける根拠のない情報に惑わされないようご注意ください。

Lite の使い方は非常にシンプルで、スレッショルドで突っ込み具合を、アウトプットで出音の音量を調整するだけです。Dry/Wet 機能(MIX)もあるので、ガッツリ潰してパラレル処理なんてことも出来ます。

Advanced はこれに機能を追加して痒いところに手が届くようにしたものです。エンジンは Lite と同じもので、デフォルト状態だと Lite と同じ設定だと思われます。

Advanced の主な追加機能としては、ハイパスサイドチェイン(低域をスルー出来る機能)、アタック(LOOK AHEAD)とリリース、ニーをソフトとハードから選べるスイッチ、キャラクターを変えるスイッチが2つです。AUTO GAIN は何かよく分かりません^^;

特に存在感があるのがキャラクターを変える2つのスイッチです。AGGRO をオンにするとトランジェント特性がドラムに最適化されます。COLOR をオンにすると中高域~高域が強化されてガツッとエッジィな音になります。

Lite も Advanced も基本は突っ込むだけで使えますが、使いやすさを失わない範囲で細かい調整が出来る Advanced が結構良い感じです。

CPU 負荷も変わらず双方とも超軽量なので、Lite の存在意義が若干微妙な感じはしますが、原型は Lite の方です。

ガツッと潰れ、強力に整う

JST Finality の音についての感想です。

見出しの通り、ガツッと掛かってダイナミクスが強力に整います。

Finality 自体がミキシング用途に使うためのリミッターという位置づけですが、加えて JST がそもそもどういったデベロッパーなのか(※)を考えれば想像に難くない方向性ではありますね。

まるでドーピングしたかのように強い音になり、未舗装路をロードローラーで均したかのように音が整います。

それでありながらペタっとした残念な感じにもなりにく、コンプでうまいことやった時のような(語彙力^^;)質感が簡単に作れます。

※ JST の代表 Joey Sturgis 氏は、メタルコア界隈の有名プロデューサーです。JST の製品は氏の経験をもとに簡単操作で最適な効果が得られるように開発されたプラグインが多いです。

音質変化は大きめです。Finality で潰すと、中低域~中域がゴリッと太い音になりつつ、中高域~高域もギラッと出てきます。

はやりリミッターなこともあって、ダイナミクスの均一化が一瞬で完了してしまうのですが、やっぱりこれは便利ですね。

比較的バランスにバラつきのあるドラムバスに Finality を適用するだけであら不思議、理想的なバランスに近づきつつビシッとコンプレッションされた音になります。

ドラムだけでなく、ギターやベース、ボーカルに関しても然りです。特にギターは細かいパラメータを使わずに Lite 版で十分です。逆にドラムは Advanced 必須です。

まさにメタルコアやモダンメタル系のそれと言わんばかりな、ガツッとパンチのある整った整形サウンドが簡単に得られます。

この辺りのジャンルはバストラックに Waves の L1 などのリミッターを挿してガチッと固める事が結構あるのですが、そういった類の処理を基にブラッシュアップした感じのプラグインです。

まとめ

いかがでしょうか。JST Finality のご紹介でした。

さすが JST といった感じのラウドな音に最適なカチッと整形されたサウンド簡単に作れる、まるで化学調味料のようなプラグインです(笑)

簡単にガツッとしたラウドで整った音が手に入るのでモダンメタル系の音にガンガン使っていけますし、EDM やハードコアテクノなど派手めなエレクトロミュージックにも最適なのではないかと思います。(実際 JST 的にもそこは狙っているらしい)

アコースティック系や柔らかな音、奥行き重視の音には合わないと思いますが、なんだかんだ上記のようなスタイル以外でもトラックをピタッと FIX させたい時って結構あると思うので、1つ持っておくと便利だと思います。

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