「遮音」と「吸音」の違いとは?【防音の知識】

こんにちは。Lostmortal@DTMブログ (@lostmortalmusic) です。

防音室や防音ブースを作る際に必要な処置として「吸音」と「遮音」があります。これらを組み合わせることで防音対策をしていくわけですが、それぞれどう違うのかについてまとめました。

防音≒吸音+遮音

当サイトの記事の中でも比較的よく読んでいただいている記事の1つに、下記の防音室自作に関する記事があります。

こちらの記事で書いている通り、防音をする際には吸音材と遮音材を壁に貼り付けていくことになります。出来れば制振対策(振動を抑えること)もやった方が良いですが、基本は 防音=吸音+遮音 になると思います。

上記の記事にも載せていますが、イメージとしては以下のような感じですね。壁に遮音材を貼り付けて、そこに吸音材を貼ります。

音→吸音→遮音という流れで防音をしていきます。

そもそも防音とは、室内の音が外に漏れたり外の音が室内に入ってくるのを防ぐことですが、それ自体は具体的に何をするかの方法論を指す言葉ではありません。で、その方法論が「吸音」と「遮音」になってくるわけです。

吸音とは

吸音とは、文字通りですが、「音を吸収する・吸い取る」ことを指します。

音を吸収するとはつまりどういうことかというと、音を拡散させて反射や反響を防ぐということになります。

具体的な吸音の仕組みですが、例えるなら水道水をスポンジで受け止めた時のようなイメージです。水道水が音で、スポンジが吸音材だと思ってください。

水道水がスポンジに落ちると、スポンジの中で水の流れが拡散されてから落ちていきますよね。これと同じイメージで、音を吸音材の中で拡散させることで音を吸収させます。

これが「吸音」ということになります。また実際は拡散の過程で音エネルギーの一部が熱エネルギーに変換されて少し音量が下がります。

つまり、吸音では音を拡散させることは出来ても、音を通すこと自体は通してしまうんです。拡散させる過程で通す音量は多少小さくはなりますが、とは言えこれだけだと防音とは言い切れない、ということになります。

吸音材に使われる素材としては、ロックウールやグラスウール、ウレタンなど、スポンジちっくな構造のものですね。当然ですが素材によって効果の大小があるのでスポンジ形状ならなんでもOKというわけではないです。

DIY で防音施工をするなら下記のようなボード上に加工された資材が便利です。こちらのGCボードはグラスウールを固めてボード上にしたものをクロスで覆った製品で、コスパと効果のバランスが良く、私自身も防音施工をした際にメインの吸音材として使用しました。

吸音は、音の反響を防ぐことが主だった効果になりますので、つまるところ「部屋鳴り」の具合を調整する目的でも吸音材が使われます。ボーカルブースで声を受け止めるように吸音材が設置されていたりするのもこのような理由からです。

遮音とは

遮音とは、こちらも文字通りですが、「音を遮る・遮断すること」を指します。

音を遮断して、空気中を伝わってきた音が外へ漏れないようにするのが遮音になります。こちらの方が直接的に「防音」っぽい感じがしますね。

遮音が具体的に意味するところとしては、伝わってきた音を跳ね返すことで音を遮断させるということになります。

吸音は水とスポンジに例えましたが、遮音はボールを壁や床に当てた時にバウンドするようなイメージです。(ボールが音のイメージ)

つまり遮音とは音を跳ね返すことになりますが、ということは遮音をしただけだと音が必要以上に反響してしまう可能性があるということです。それはつまり部屋の鳴りを悪化させてしまう可能性があるということになります。

なので反響を防ぐ効果のある吸音と組み合わせる必要があるんですね。

また予め吸音材で音を拡散させることで遮音材が受け止めて跳ね返す面積あたりのエネルギーも小さくすることが出来るのでやはり組み合わせることで防音効果が高まるということになります。

遮音材に使われる素材としては、コンクリートや鉛など、重くて密度が高いものになります。しかしこれらを DIY でどうにかするのは現実的ではないので、サンダムCZ-12 のような専用の遮音材が販売されています。

なぜ遮音と吸音を組み合わせる必要があるのか

これまでに説明した内容のおさらいになりますが、防音のためには吸音と遮音を組み合わせることが大切です。

吸音材だけだと、吸音効果によって音を拡散し一部緩和することが出来ても、音を通してしまいます。

遮音材だけだと、音を遮ることは出来ても遮った音を全て反射してしまうので部屋の鳴りが壊れてしまいます。

よって、吸音材→遮音材→壁となるように吸音と遮音を組みわせて施工することで、音を吸収し反射を防ぎつつ、外に通ってしまう音を遮ることが出来る、ということになります。遮って反射した音はまた吸音材に当たるのでそこでやはり反響を防ぐことが出来ます。

これによって「防音」効果が得られるわけですね。

遮音と吸音の違いまとめ

以上、吸音と遮音の違いについて、それぞれどういったメカニズムであるかを解説させていただきました。

どちらかだけだと防音としてイマイチ、組み合わせることで効果を発揮するのが何故なのかがお分かりいただけましたでしょうか。

実際に防音室を DIY で自作したりなどする上では、「吸音と遮音を組み合わせて防音を行う」という部分だけを理解していれば最低限問題はないとは思います。

しかし、それがなぜなのか?どういう理屈なのか?ということを知っておくのは決して悪いことではないですよね。

よく理解せずに「どっちかでいいや」と雑な施工をしてしまうと後になって後悔することになりかねません。

また、世間では一様に「防音材」として売られている資材もありますが、それが吸音材なのか遮音材なのか、はたまた制振材なのかが分かっていないと、たとえ買ったところで適切な使い方が出来ないかも知れません。

やはり多少なりとも知識があった方が、そういった際にも迷いにくくなって良いのではないかと思います。

参考になれば幸いです。