【Neural DSP】Fortin NTS Suite レビュー
Neural DSP のアンプシミュレーターソフト、Fortin NTS Suite を紹介します。これまた凄いハイゲインアンプのシミュレーターです。
Fortin NTS Suite とは
Fortin Amplification というハイゲイン・ブティックアンプメーカーのアンプとエフェクターをモデリングしたアンプシミュレータープラグインです。
ブティックアンプというのは手作業などによる少量生産のこだわりの高級アンプというイメージですが、とりあえず Fortin という知る人ぞ知るマニアックなブツをプラグイン化するあたり、さすが Neural DSP と思う所存。
Fortin NTS Suite のモデルとなっているアンプは、見た目と名前のニュアンスからして、Fortin Natas というアンプです。微妙に実名にしないのはどういう契約なのか^^;
Fortin NTS Suite は、このアンプのモデリングに加え、同じく Fortin のエフェクトペダルのモデリング3種類とキャビネットシミュレーターを同梱したパッケージ製品という形です。
Neural DSP 製品によくある形態のパッケージングですね。
Fortin NTS Suite特徴と使い方
Fortin NTS Suite は、ペダル、アンプ、キャビネットの3つのセクションに分かれています。順番に見ていきましょう。
まずペダルセクションです。ここでは Zuul、Hexdrive、Grind という3種類のペダルを扱うことが出来ます。これらも実機で買おうとすると高額かつ日本での入手性も良くないので、ここだけでもアツいです。
Zuul は見た目が一番イカツイですがノイズゲートです。プラグインのガワの部分にもゲートは搭載されていますが、スピード感などで好みの方を使える感じです。せっかくモデリングされているのでこちらを使いたいところ。
Hexdrive と Grind はオーバードライブ/ブースターです。前者は TS 系で、後者はかなりエッジィな高域特性でギャリギャリギョリギョリな感じになります。笑
アンプセクション。やはりどうみても Natas ですが、チャンネル1がハイゲイン、2がクリーンです。
ハイゲインチャンネルには 6IRTH 、6RIND、6AIN という謎のツマミがありますが、順番に低域、高域、ゲインの調整です。基本的に高域が鋭い特性のアンプですが、ここで結構質感の調整が効く感じです。
クリーンチャンネルは所謂クリスタルクリーンと言われるクリアな冷たい音です。うーん悪くはないけど、ハイゲインアンプのクリーンチャンネルにありがちな面白みのなさも否めない感じですかね。
キャビネットセクションです。キャビは1種類ですが、マイクは7種類から選べて、マイクポジションの調整も可能です。2系統混ぜることも出来ます。
カスタム IR Loader も搭載されています。IR を読むと分かるんですけど、善し悪しは抜きに「Fortin らしさ」はキャビにも結構宿っているんだなと実感させられます。
メタルモンスター
音についての感想です。
安易な見出しですみませんが、まさにメタルモンスターという感じの完璧なモダンハイゲインサウンドといった感じ。一発で「おお、すげ~」と思わされる良さがありますね。
アンプの見た目通り、とっても強いサウンドです。
Fortin って確か改造マーシャルにルーツを持つブティックアンプだったと思いますが、マーシャルらしい高域の鋭さそのままに、バランス良くガツッと、超現代的な感じのソリッドで明瞭なハイゲインサウンドに昇華されている印象です。
粒立ちがよくクリアで、やや高めの中域が綺麗に押し出されてバキッとした硬めのパンチがあるサウンドは、2010年代のハイゲインサウンドを象徴するかのような音です。
EQ の効きやゲイン量の調整量は意外と広く、ペダル類とも相まって質感調整の振れ幅は広いです。モダンでパキッとしていることには変わりないですが、その中で色々な味付けの歪みが作れます。
ペダルは音の硬さや鋭さげの影響が大きい感じ。例えばペダルをなしにしてアンプだけで歪ませるといくらか柔らかくなるので、ゲインを抑えて芯を残した感じの歪みも結構使えたりします。Grind をぶん回して殺人的なサウンドメイクも可能です(笑)
まとめ
いやーとんでもなく素晴らしいですね。
あからさまに良い音と感じさせるような圧倒的なクリア感は Neural DSP 製品の強みとも言えますが、だからこそこのようなアンプのモデリングに非常に強みがあるのかなと思う次第です。
クリーンチャンネルは上述の通りでまあ他に選択肢もあるよねという感じですが、ハイゲインサウンドとしてはプラグインで手に入る中でも最高峰ではないかと思います。
他の Neural DSP 製品とは(どれも超高品質なので)質感の違いで選べば良いのですが、純粋に現代的なハイゲインを鳴らしたいのであれば、個人的にはこれがとても良いかなと思いました。
実機でも鳴らしてみたい次第。