【Neural DSP】Omega Ampworks Granophyre レビュー

Neural DSP のアンプシミュレーター、Omega Ampworks Granophyre を紹介します。Neural DSP らしく他にない最先端系なモダンハイゲインアンプのシミュレーターです。

Omega Ampworks Granophyre とは

日本語の情報が皆無で個人的にも聞いたことがなかったのですが、今回モデルになっている Omega Ampworks Granophyre は実在するアンプのようです。

Omega Ampworks というメーカーの Granophyre というモデルです。ググってもプラグインの情報のほうが多い感じですが、メーカーの公式サイトが存在しています。

新興のアンプメーカーなのでしょうかね。調べると Slipknot のミックトムソン等が出てくるので、知る人ぞ知る良メーカーといった感じなのでしょうが、なにせ知名度が低いですね。日本に流通しているのかも不明で、なかなかにマニアックな感じがします。

こちらのアンプをモデリングして、キャビネットシミュレーターやエフェクトなどを同梱しプラグイン内でトーンを完結出来るようにしたものが、Neural DSP バージョンのプラグイン版商品ということになります。

Omega Ampworks Granophyre の機能と使い方

オーバードライブ、アンプ、EQ、キャビネットの4セクションからなります。GUI 上下は共通メニューで、中央に各セクションの表示部分があります。上記は画像アンプセクションの表示状態です。

アンプ部分はシンプルな歪みの1チャンネル仕様です。基本のツマミはベーシックな3バンドの EQ に加え、DEPTH と DETAIL でぞれぞれ低域、高域のキャラクターを調整できます。

また、真空管を 6L6、EL34、KT66 の3種類から選択できるようになっており、これで結構キャラクターが変わります。

オーバードライブと EQ をまとめて紹介します。

オーバードライブは EarthQuaker Devices Plumes という TS 系のカスタムペダルがモデリングされています。キャラクターが3つ選べるのが特徴のペダルです。

EQ は見た目が Darkglass っぽいですが恐らく Neural DSP のオリジナルの、オーソドックスな9バンドグラフィックイコライザーです。微調整用に。

キャビネットセクションです。キャビネットは2種類収録で、恐らくマーシャル系とメサかオレンジの Vintage30 系です。

そしてマイクが7種類から選べ、マイクポジションの調整も可能です。更に2種類のマイクを混ぜることも出来、このタイプのパッケージ製品としては音作りの幅が広いですね。

カスタム IR Loader も搭載されており、サードパーティの IR を使うことも出来ます。ただ、アンプとのマッチングをしっかり考えて調整されているであろうキャビシミュが結構優秀なので IR Loader の出番は少ないかも知れません。

驚くほどモダン

率直な感想としては、立ち上げたままのデフォルトの状態でちょっと鳴らしただけで「お、いいね!」という感じでした。

殆ど濁りを感じない非常にクリアで明瞭な音像で、第一印象で音が良いと感じさせられます。これは Neural DSP の他の製品にも概ね言える傾向ですが、デベロッパーの実力を感じるポイント。

Granophyre の特徴としては、冷たくソリッドでパキンとした、驚くほどモダンなハイゲインサウンドという感じ。GUI のイメージ通りという感じかもですね。オーバードライブを噛ますと更に硬い音になります。

やや高域が強めでハッキリとしたブライト感がありますが、その一方でソリッドながらも中低域がスカスカということもなく、性格はハッキリしていながらも上から下までバランスの良いサウンドです。

例えるなら、一見キツイ感じのキャリア系の先輩上司が意外と親身に相談に乗ってくれる…みたいな感じの暖かさでしょうか(笑)

面白いのが、ゲイン量を上げると冷たい感じが強くなり、下げるとふくよかな温かみが出てくる点。全体的には冷たい傾向が強めではあるものの、ゲイン量によってアンプのキャラクターを調整することが出来るんですよね。1チャンネルながら奥深い。

まあ基本的には無慈悲で機械的な多弦ギター使いのヘヴィリフを鳴らすのがよく似合うアンプだと思いますが、公式の推し文句に「From dirty blues to crushing metal」とあるのも、こういった歪みのキャラクター調整ができるが故なのかと納得です。

まとめ

いやー控えめに言っても凄く良いです。

クリアでソリッド、明瞭でバランスの良い音像で、そのままでも超現代的なパキンとしたモダンハイゲインサウンドにピッタリです。90年代系のハイゲインではない冷たく綺麗なゴリゴリハイゲインサウンドが非常に面白いし、バランスも良くて扱いやすい。突き詰めていくと1チャンネルながら歪みの引き出しが広いのも面白いですね。

同じ性格のアンプってあまりないかも知れません。欲しい音がそれかどうかはまた別問題になるかもしれませんが、唯一無二感のあるクリアなハイゲインは非常に魅力的です。

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