【Black Rooster Audio】Magnetite レビュー【良質テープシミュレーター】

Black Rooster Audio のテープシミュレータープラグイン、Magnetite を愛用しています。音が良くなる系のプラグインとして素晴らしいのでレビューさせていただきます。

Magnetite(マグネタイト)とは

Black Rooster Audio からリリースされている、磁気テープのサウンドへのオマージュを謳うテープシミュレータープラグインです。

テープシミュレータープラグインとは、アナログテープを通した時の質感をエミュレートして付与することが出来るプラグインで、まあ一言で言うと、通すと音が良くなるプラグインといった感じのものです。

エミュレーター…?シミュレーター…?この部分の名称はどちらが正しいのか分かりませんが、まあどちらでも良いでしょう…。

DTM で音作りやミキシングを嗜んでいると1つ命題ともなってくるのが、デジタル臭くて不自然な仕上がりになってしまうのをいかに解消するかという点だと思います。そこでこのようなアナログ風な質感を付与してくれるプラグインが活躍するんですよね。

Magnetite はメーカーとしても音が良いと評判の Black Rooster Audio が出している音が良くなるプラグインということで否が応でも期待が高まるやつですよね。

機能・使い方

Magnetite のパラメーターではテープの種類とその挙動、In / Out の突っ込み具合を調整することが出来ます。ざっと見ていきましょう。

まず下記が Magnetite の GUI になります。格好良いですね。

Black Rooster Audio Magnetiteのイメージ

パネル左にあるテープの種類は、青・黒・赤(BLK, BLU, RED)の3種類から選べます。

赤テープが一番分かりやすく倍音が増えて音が前に出てきます。多くの人がメインで使うのは赤になりそうな感じかなと思います。

しかし面白いのが黒テープで、かなりアナログ色強めで、ピークがローミッド寄りになってハイ落ちした感じ、柔らかく太い濃厚な音になります。

青はその中間という感じですが、個人的にはあまり掴みどころがない感じがして少し使いにくいですね。

パネル右に行くと、「BIAS」「TAPE SPEED」というパラメータがありますね。

BIASですが、数字を大きくすると、掛かりというか質感付加が強くなるイメージです。倍音付加、ハイ落ち、ローミッドが豊かに。

TAPE SPEED も同じく、質感の付加感が変わる感じ。劇的な違いでこそないですが、7.5の方がテープ感強めです。

なので、例えば黒テープ& BIAS:+5dB & TAPE SPEED:7.5 とかにすると結構ゴリゴリに「アナログ感出してまっせ」的な音になります。でも嫌らしさはなく自然な感じ。

またサムネの設定ですが、赤テープ& BIAS:NRM & TAPE SPEED:15 とすると、一番サッパリ目の音になります。原音の雰囲気を変えずに豊かな感じにするにはこれがベストですね。

メーター左右についているツマミはインプット/アウトプットです。まあ説明は不要でしょうかね。

そして右端の「WOW FLUTTER」は、テープがよじれた挙動を再現するパラメータで、ウネウネしたモジュレーション系のエフェクトを楽しめます。思い切り音を変えたい時にどうぞ。

一言でいうと「凄く音が良くなる」

語彙力が貧弱すぎてすみませんが、、Magnetite の音、素晴らしいですね。

音を良くするプラグインなので音が良くならなきゃ困るわけですが、そこは Black Rooster Audio といった感じで、さすがに良い感じです。

音質変化の方向ですが、テープシミュレーター全般に言えることではありますが、倍音が適度に付加されて、音が豊かになり、重心が下がります。

Magnetite は、そんな中でも上品かつリッチですね。私の知っている限りの他有名メーカーのテープシミュレーターと比べても、上質感という点では Magnetite が1歩か2歩リードしているように思います。

アナログ系だけど決して劣化するような方向性ではなくクリアでハイファイです。もちろん変なデジタル臭さもなく、料理の味付けで例えると化学調味料や合成着色料不使用の高級な天然由来素材のみ使用、みたいな感じですね。

とにかくテープシミュレーターの中でも Magnetite はかなり優秀なプラグインなんじゃないかと思います。

Magnetite の使いどころ

その特性上、使おうと思えば全トラックに使っていくことが出来ますが、CPU 負荷が低いわけではないのでミックス時に全トラックに挿すというのはあまり現実的ではないですね。

それに全トラックに挿すと、全部のトラックがそれぞれ気合が入った感じになって結構暑苦しくなってしまう可能性もあります。時には引き算が大事だったりもします。

個人的には、バンドサウンドのリフギターやオケのメインになる部分を含むバストラックなど、その楽曲の中で重要なトラックに使うと良いかなと思っています。

バウンスする時に掛けて書き出すなどもおすすめですね。

もちろんマスター段に挿しても全然OKで、やはり何にしても、自分がここぞと思うところに挿すのがベストだと思います。

Magnetite の使用例

ちなみに私の使い方ですが、最近はマスタートラックの初段に挿すことが多いです。

例えば下記の楽曲は、マスタートラックの初段に Magnetite を「赤テープ、BIASなし、テープスピード15、ゲイン4db」の設定で挿しています。

その後 Ozone の Master Assistant を適用しただけで完成としていますが、事前に Magnetite を通すことで全体のバランスも整う感じがします。Ozone が自動適用する EQ カーブが自然になるんですよね。

 

まとめ

ということでこちらの Magnetite、テープシミュレータープラグインの中でもかなり優秀な製品なのではないかと思っています。少なくとも私が所持している中ではこれが一番ですね。

Slate の VTM とかも前から気になっていたのですが、Magnetite が出てからはあまり話題にならなくなったように思います。

そして意外とお値段が高すぎず、$89 となっています。(為替相場にもよりますが)1万円しないくらいで買えてしまうので高品質プラグインとしては安めですよね。

テープシミュレーター系を購入検討しているなら Magnetite は筆頭候補だと思います。

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