Amplitube Orange レビュー【貴重なOrange公式アンプシミュレーター】

Amplitube Orange は貴重な Orange Amps の公式モデルとなっているアンプシミュレーターです。少し古いプラグインですがまだまだ使えるので今回はこちらについて紹介したいと思います。

Amplitube Orange とは

ソフトウェアアンプシミュレーターの老舗、IK Multimedia Amplitube の拡張パックです。

Orange Amps 公認のモデリングアンプやキャビネットを詰め込んだパッケージ製品ですね。

拡張パックではありますが、Amplitube 自体がガワだけならフリーで使えるソフトですのでこれだけ買っても満足に使用することが出来ます。

発売は2013年とやや古いですが、DTM 製品で恐らく唯一の Orange 公式アンプシミュレーターとなり、Orange 好きの私にとってはいつまでも色褪せない製品ですね。

Orange Amps とは

通称オレンジ。1960年代にイギリスで創業した老舗のエレキギター・ベース用アンプメーカーです。

所謂「ブリティッシュアンプ」の代表的なメーカーですね。多分 Marshall が良くも悪くも定番すぎるので、ブリティッシュ系の音というと Orange のサウンドが連想されることが多いように感じます。

ブランド全体としてのサウンドの傾向ですが、特徴的なハイミッドのザラついた質感と自然な中低域で、ブランド名と掛けて「ジューシーなサウンド」などと言われます。知人は「ジュブジュブしている」と表現していましたが…w

ハイゲイン系にも強く、メタルコアやハードコア系のバンドで使用率が高いです。

Amplitube Orange の収録モデル

やっぱりなんと言っても Orange Amps 公式であることですよね。実名のアンプモデルはテンションが上がります。

収録モデルは以下になります。

アンプヘッド

  • AD200B MK 3 Head
  • Dual Terror™ Head
  • OR50H Head
  • Thunderverb 200 Head
  • Tiny Terror Head
  • AD30TC Combo Amplifier
  • OR120 Head
  • RockerVerb 50 MKII Head

キャビネット

  • OBC115 1×15″
  • OBC410 4×10″
  • OBC810 8×10″
  • PPC112 1×12″
  • PPC212 2×12″
  • PPC212 Open-Back 2×12″
  • PPC412 4×12″
  • Tiny Terror 1×12″ Combo
  • AD30TC 2×12″ Combo

Amplitube Orange の特徴について

ソフトウェアとしての基本的な仕様は、当然ですが Amplitube の仕様に倣う形になります。

Amplitube 4 になってからキャビネットシミュレーターの GUI はリッチになりましたね。

品質はモデルによって多少差はあったりするものの、基本的にどれも実機の特徴を捉えていて格好良いです。Orange らしさが感じられます。

古いソフトなので決してハイファイなサウンドではないものの、シミュレーター臭さや、嘘くさく冷たい感じの音などでは決してなく、太く温かみのあるブリティッシュサウンドを十分に感じることが出来て良い感じですよ。

Amplitube Orange の代表的なモデルをレビュー

さて、収録されているアンプをいくつかピックアップして個別に紹介したいと思います。

Rockerverb 50 MKII

モダンな Orange を代表するハイゲインアンプ、Rockerverb の2世代目50ワットモデルです。

僅かに薄い感じがするものの、癖が少なく非常に扱いやすいです。誰でも簡単に格好良いハイゲインサウンドが作れます。私の初期の作品のギターは全てこれを使っています。オケ馴染みも非常に良いです。

Thunderverb 200

一時期出ていた Rockerverb よりも上位のハイゲインアンプです。20hzの超低域まで再生可能でベースアンプにも使えるという代物。

音はドンシャリ傾向で実機のタレコミ通り強烈なローエンドをしています。Bチャンネルのほうがよりらしさが出てくる感じですね。Aチャンネルはちょっと中途半端かも。

個人的には OBC810 と組み合わせてベースアンプとしての使用が好きです。

Tiny Terror

コンパクトサイズアンプの名機です。Orange としても手応えがあったのか、今も「~~Terror」シリーズの新作アンプが出続けています。(それより Tiny Terror を売り続けてくれって思いますけどね…)

かなり特徴掴んでますね。独特のミドルがモッコリしている感じや、少ない電圧や真空管本数で頑張ってドライブさせる感じがよく再現されています。

単体だとちょっと渋めのアンプって感じですが、TS ブースターをかますと魅力的なハイゲインアンプに大変貌します。今使うならこれかな。

Dual Terror

Tiny Terror を2チャンネル化して、FATチャンネルを追加したアンプです。

上述の Tiny Terror は凄く良かったのですが、こいつはダメですね…。どっちのチャンネルにしてもコモコモだし歪まないし使えたもんじゃないです…。

実機は触ったことがないので再現度は不明ですが、個人的にはこれは使えませんね…。

AD200

ベースアンプです。Orange Bass のフラッグシップだったはず。

実機はめちゃくちゃ良い音がするんですが、プラグインのコイツは無難というか、あまり印象に残らなかったかなという感じです。悪くはないんですが、Thunderverb をベーアンとして使うほうが芯が強くて好きです。

IR の使用で更に良くなる

エンジンが Amplitube 4 になって随分と改善されて十分なクオリティにはなりましたが、とはいえ Amplitube シリーズの特徴としてキャビネットシミュレーターの音がイマイチという点があります。

そこで個人的にオススメしたいのが、キャビネットシミュレーターをバイパスしてサードパーティの IR を使用することです。

Amplitube には IR Loader が搭載されていないので、キャビネットをバイパスした上で別プラグインの IR Loader と併用する必要がありやや面倒ではありますが、それでもオススメします。

やっぱり IR ってシミュレーターと違って生のデータなので、そのぶん音も生々しいんですよね。良くなったとは言え、BIAS AMP と比べると多少なりともデジタル臭さを感じる部分がある Amplitube だからこそ、IR を使うことの効き目が大きいです。

また、IR にも Orange の公式モデルがあるんですよ。Orange ファンとしてはそっちも使いたいじゃないですか。

Orange 公式 IR については下記の記事で語っています。

まとめ

Orange アンプのシミュレーター自体が少ないこともありますが、未だに有力な選択肢かなと思います。

例えば執筆時点で一番人気と思われる BIAS AMP は、音は良いけど自由度が高すぎて沼にハマると抜け出せないし、実機公式のモデリングが無いですから、そこは大きな差別化になります。

バンドマンなら自分が使っていてテンションが上がるアンプってあるじゃないですか。

プラグインではあるものの、私にとってはこれがそうなんですよね。やっぱり Orange ってのが良くて。

Orange 好きに届いて欲しいです。Orange のアンプやサウンドが好きなら、今から買っても全然価値があると思います。

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