BIAS FXで「エモいリードギター」を作る方法
Envy みたいなエモいリードギターを DTM でも掻き鳴らしたい!と思ったら、BIAS FX で実現可能です。今回はそんなギターの音作りを紹介したいと思います。
はじめに
「エモい」という言葉が一般に浸透する前、かつて音楽用語だった時代がありました。
詳しい事は割愛しますが、エモというジャンルから始まって形を変えつつ、叙情派ニュースクールや2000年代のスクリーモ、ポストハードコアといった音楽の浮遊感・透明感のあるメロディを指すようになりました。
サムネイルも一応それっぽい雰囲気のものを選んだつもりです。
(※解釈は色々あると思いますがそこら辺の議論をする気はないので細かい事はご勘弁ください)
その後いつの間にか若者言葉になっていったわけですが…今回はこの浮遊感のある美しいリードギターの音を BIAS FX で作ってみたいと思います。
エモいギターとは
冒頭で述べたようなエモいリードギターとは具体的に何を指しているのかをここで明確にしておきましょう。
参考曲は、Lostmortal の Vanity という曲にしたいと思います。
こちらの楽曲のイントロから鳴っているリードギターみたいな感じということで、いってみたいと思います。
このように、ヘヴィなバッキングのウワモノとして鳴らす、浮遊感・透明感のあるキラキラしたギターが、今回扱う「エモいギター」ということで、宜しくお願いいたします。
とにかくこういうのが好きなもので、私の作る曲にはしばしばこの要素が入ってきます。。
BIAS FX とは
今回使用する機材は、Positive Grid の BIAS FX というアンプシミュレーターです。
当ブログで何度も紹介している BIAS AMP のエフェクターがセットになったものですね。
BIAS AMP で作ったアンプモデルプリセットと専用のエフェクターを組み合わせてギターの音作りを1本のソフト内で完結させることが出来ます。
買うなら Professional が1番バランスが良いと思います。
エモい音の作り方
さてエモいリードギターの音の作り方ですが、言葉で言うと結構シンプルです。
「軽く歪ませて、ディレイとリバーブをいい感じにかける」という感じになります。
では、これについて細かい所を見ていきたいと思います。
まずは BIAS AMP から
BIAS FX 内で適当なハイゲイン系のアンプを選んでも良いですが、せっかくなので BIAS AMP 側のアンプモデリングから作っていきたいと思います。
下記は私が普段からリフなどにメインで使っている、Orange の Rockerverb をイメージしたハイゲイン仕様のプリセットになりますが、これをベースとしてプリアンプの真空管を変更します。
画像の通りですが、よく歪む 12AX7 から、1段階まろやかな 12AT7 に変更しました。
選択箇所が2箇所ありますが、左がメイン、右がサブ的な感じ。左は 12AX7 で右だけ 12AT7 などでも面白いと思います。
これでによって歪みの質が、元々の歯切れの良いハイゲインから、少し甘くマイルドな感じに変わります。
BIAS FX からロード
上記で作った BIAS AMP のプリセットを BIAS FX でロードします。
BIAS FX を立ち上げて、アンプのグラフィックをダブルクリック→BIAS AMP 2 のところに、保存したプリセットがいます。
はい、このように読むことが出来ました。
アンプの歪み量ですが、私のプリセットの場合だとゲイン 4~5 くらいが丁度良いです。
歪み量を決めるポイントとしては、徐々にゲインを上げていってダイナミクスがペタッとし始めてくる辺りを狙う感じです。
空間系エフェクトをかける
そして上記画像にももう出ていますが、ディレイとリバーブをかけていきます。
エフェクトを挿す順番ですが、ディレイ→リバーブの順がオススメです。
エフェクトは下記のようにいくつか種類を選べるので、試してみて好きなものを選ぶと良いと思います。
私の場合ですが、ディレイ:Deluxe Delay 、リバーブ:Dual Spring に落ち着きました。
それぞれ私のセッティングをキャプチャで紹介しておきますので良かったら参考にしてください。
(※あくまで1例。曲によって細かいセッティングは変わります)
DAWのセンドで追いリバーブ
BIAS FX の設定は以上になりますが、DAWのミキサーにあるエフェクトセンドで更に追いリバーブを掛けていくと更に良い感じになります。
個人的にオススメなのは濃厚なプレート系のリバーブを薄めにかけることです。
Waves TrueVerb の Medium Plate というプリセットがこの用途にとても良い感じですね。更にリバーブ成分だけ EQ でハイとローを少し落とすと尚良し。
エモーショナルを掻き鳴らせ
という感じで、エモいリードギターの音作りは以上になります。
あとは、適宜コンプでダイナミクスの調整をしても良いかも知れませんし、エフェクトの深さはお好みで。
BIAS FX は、今回紹介したように扱う安く柔軟性も高いのですが、なにより音が良いです。他のアンプシミュレーターソフトやプラグインエフェクト等と比べても、ストンプエフェクト類の出来が非常に良いので、DAW 上でギターエフェクトを使いたい場合は是非 BIAS FX を。
これで1弦や2弦をトレモロピッキングしたり、少しだけゲインを抑えてアルペジオしたりすると最高にエモいナイスなヤツになれます。きっと。
ヘヴィなリフのウワモノとしてこのギターを掻き鳴らせば、叙情メタルコア・ポストハードコア等の良い感じのフレーズが出来るはずです。是非試してみてください。