Amplitubeをボーカルに使うテクニック【プリアンププラグインとして使える】

アンプシミュレーターの有名どころな製品であるAmplitubeですが、マイクプリアンプ的にボーカルに適用したら良い感じでした。ということで本来の用途とは違ったトリッキーな使い方を紹介します。

Amplitubeをボーカルに

Amplitube といえば、IK Multimedia が誇るギター/ベース用のアンプシミュレータープラグインです。

これは一言で言うならプラグインとして起動するアンプなわけですが、そういえば同じプラグインの機材としてプリアンププラグインなるものがあるな、と思いまして。

また、アンプシミュレーターソフトってプラグインとしてソフトウェア内部で起動するため、アンプのパワーアンプ部分って実質的に意味を成していないわけです。あって音質変化の再現のみという感じで。

なので、キャビネットを外してしまえばプリアンププラグインと同じように使えるのではないか?と思いました。

そんなわけで、試しにマイクプリアンプ的にボーカルにかけてみたらどうだろう…と思ってやってみたんですよ。

そしたら使える感じでした。

所謂プリアンププラグインとしての役割でボーカルトラックにインサートして、質感を豊かにすることが出来ます。

勿論アンプモデルやセッティングによって音を変えたりサチュレーションを加えることも可能です。さすがにギターアンプ用だけあって歪みが得意な感じですね。

ボーカルに適用する使い方

Amplitube をボーカルに適用する際の使い方ですが、さすがにそのまま使うとダメです。

コツというか絶対条件としては、キャビネットシミュレーターをバイパスしてヘッドアンプ部分のみ使うことです。キャビを使うとギターの音になりますからね…。

ギターやベースの「らしさ」の部分はキャビネットが担っている部分が大きいんだなと実感しますが、ここを通さなければ単純にプリアンプ/歪みとして使えてしまった感じです。

なお、一応 BIAS AMP でも同じことを試してみたのですが、あちらは音が思いっきり変わってしまってダメでした。

Amplitube のアンプヘッドに関しては、ヘッドだけで使うとギターベース以外のソースに対しても自然な質感、サチュレーションが適用できるという結果です。

デスボイスには特に相性○

今回試したのはサムネイルにもある通り、Amplitube Orange の Rockerverb 50 MKII です。

ハイゲイン系のアンプなので、ゲインを回すとスグに歪みますし、更に回すとゴリゴリに歪みます。

この特性を活かして、デスボイスやスクリーム系の「叫び声」系ボーカルに、歪みを適度に乗せつつ適用すると、メチャメチャ良い感じになりました。

グッと、ギラッと、存在感が増して前に出てくる感じになり、オケ馴染みも良くなりました。

歪みに加えて真空管コンプレッション(のシミュレート)もかかるので、ダイナミクスも自然かつしっかり整って Vocal Rider や手コンプいらずです。

なんだなんだメッチャ良いじゃないかこれ。。

ボカロも良い感じになった

叫び系のボーカルに関しては、サチュレーションというかオーバードライブ的な歪みと相性が良く、アンプシミュレーターを適用して良い感じになりました。

では普通のボーカルはどうなんだろう?

と思って(普通かどうかはさておき)ウィスパーボイス系な初音ミクさんにも試してみたところ、こちらも問題なく使えて良い感じでした。

ゲインは「軽くサチュレーションする」くらいまで極力抑えるのがコツですかね。

ただ、それでもちょっと作られた感じというか加工感は出やすいので、曲調などによってハマるものとハマらないものとあるような気がします。アコースティック系は厳しいかも。逆にポップスやロックとか、加工感を活かせるジャンルにはうまくハマると思います。

参考音源

こちらの音源が、まさに今回紹介した内容を適用しています。ボーカルのエフェクトラック初段に Amplitube Orange Rockerverb 50 ヘッドを挿しています。

セッティングはEQフラット(他で作るため)、ゲインは4.2くらい。

録音環境がチープなため、録り音が超いなたい感じなのですが、だからこそコイツがあるとないとで随分変わってきます。

まとめ:様々なソースに使えそう

今回はボーカルに対してしか試していませんが、ボーカルに Amplitube のヘッド部分のみを使うことで、サチュレーションやオーバードライブによる気持ちの良いエンハンス感が得られるということが分かりました。

この気持ちの良いエンハンス感という結果というのはボーカルに限った話ではなく、シンセなどのトラックにも適用できるのではないかと思います。Neutron などにも歪みを加えることによるエンハンサーが備わっていますしね。

正直、アンプシミュレーターとしての本来の用途では BIAS AMP にお株を奪われてしまった感のある(個人的にそう思っている)Amplitube ですが、こういう使い方が出来るので今も重宝しています。

また、Amplitube には公式の Orange モデリングがあるので、Orange ファンの私としてはボーカルも Orange で音を作れるという点が地味にお気に入りポイントでもあります。

ということで、Amplitube をお持ちの方は一度試してみて欲しいやつです!

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