STL AmpHub レビュー【総合型アンプシミュレーター】

STL Tones からまたしても強力なアンプシミュレーターのパッケージが出てきました。その名も「STL AmpHub」です。今回はこちらを試したのでレビューします。

STL AmpHub とは

STL AmpHub は、STL Tones が2020年9月に発売開始したアンプシミュレーターソフトです。本作は Ignite Amps とのダブルネームになってますね。

STL Tones は同年の春に STL ToneHub という強力なアンプシミュレーターのパッケージを発売しましたが、半年後にまた出してくるとは…。

さて、今回リリースの AmpHub は ToneHub とは異なりモデリング型アンプシミュレーターの総合パッケージ商品といった感じのものになっています。

複数のアンプやキャビネット、エフェクター類が収録されて、1つのプラグイン内で様々なトーンを完結させることが出来るものですね。

商品性は Amplitube に近いですかね。Amplitube と似たような仕組みでプラグイン内部で使えるアンプやエフェクターを個別で購入していくことが可能になっています。というか STL Tones 版 Amplitube ですねもはや。

そんな感じなので、プロファイリング型の ToneHub とは商品性が明確に差別化されていますね。

STL AmpHub の特徴と使い方

STL AmpHubのアンプ画面

立ち上げるとこのようにアンプ画面が出てきます。下部のメニューで画面を切り替えることが出来ます。

初期状態では Emissary が出てきました。詳しい音については後述しますが、フリープラグインとして出ている Emissary とは結構音が異なり、「AmpHubの音」にチューニングされている感じがします。

この画面ではアンプの音作りやアンプモデルの切り替えが出来ます。

アンプモデルは発売時点では全12種類のラインナップです。発売時モダンメタル一辺倒だった ToneHub とは打って変わって、ややクラシックな方向も押さえたモデル展開になっています。

ラインナップは今後増えていくと思われます。

STL AmpHubのチューナー

メニューの音叉アイコンをクリックしたらシンプルにチューナー機能が付いていました。

STL AmpHubのストンプ画面

メニューのエフェクターアイコンをクリックするとストンプ画面が出てきます。

この画面ではアンプの前段に繋ぐストンプエフェクターを最大3つまで設定することが出来ます。

コンプ、EQ、プリアンプなどがありますがメインはやはりオーバードライブ系。TS系2種類(OD808、TS9)の他、DS-1 や画像の通り FORTIN 33 までラインナップされています。

STL AmpHubのキャビネット画面

こちらはキャビネットシミュレーターの画面です。

2系統のキャビネットを混ぜることが出来、それぞれマイキングの調整がかなり細かく出来るようになっています。角度まで設定できるのは良いですね。

現状のラインナップでは、キャビネットモデルが全9種類、マイクがキャビネットごとに4~6種類となっています。

STL AmpHubのFX画面

最後、FX 画面です。

こちらでは空間系やモジュレーション系の他、アンプ後段で最終的な音の調整をする EQ やコンプを挿すことが出来ます。

この段はフル版でもメチャクチャ充実しているわけではありませんが、一通り必要なものは揃っている感じです。空間系やモジュレーション系は基本的にデジタル系のクリアな傾向ですね。

STL AmpHub の音質

音の傾向は、これまでの STL Tones 製品と近い性格をしています。

不自然に前に出てくることのない良い意味でやや引き気味な超モダンハイファイサウンドというか、近年の高品質アンプシミュレーターのハイファイさとリアルな質感を高次元で融合させている「STL印」なサウンドです。

そんな中でも、ToneHub に比べるとかなりブライト寄りになっている感じがします。

良くも悪くも若干クセがあり、高域がややエッジィな傾向が強いですかね。

Emissary のフリープラグインとも比べてもやはりそうで、AmpHub の方はかなりブライト寄りに感じます。というか Emissary については(ToneHubプリセットの方は未確認ですが)もはや別のアンプと言って良いレベルです。

また、一昔前のアンプシミュレーター特有の音の硬さやシャカシャカ感みたいなものがほんの僅かに残っている感じがしますね。

あくまで良い音ではあるんですけれども少し惜しいというか、この辺はプロファイリング型の ToneHub の方が良いかなと思えるポイントです。

まとめ

パッケージとしては無難にまとめてきた印象ですが、やはり Amplitube の影響をそこはかとなく感じます。

(それだけ Amplitube が完成されたパッケージだったということでしょう)

同社の他製品と比較すると、プリセット特化の ToneHub やテーマ別小規模パッケージの Tonality と比べ、出来ることの幅が格段に広くなっています。

特化型から総合型へ、下述する料金プランも含めて STL Tones 的にチャレンジングなプロダクトなのではないかと思います。

総合タイプのアンプシミュレーターを検討する場合は、是非こちらも選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。

商品情報

STL AmpHub の利用にあたっては、料金プランは2つあります。

1つが買い切りで、AmpHub Player ($39.99) を買って、その中に各モデルを買い足していくパターン。

AmpHub Player の初期搭載モデルは下記です。

  • Ignite Amps – Emissary
  • Ignite Amps – Tyrant Preamp
  • 6 Band Graphic EQ
  • Compressor
  • 9 Cabs with over 5000 IR’s
  • Post Effects Models

もう1つがサブスクリプションで、月額 $10 でフルに機能が使えます。

サブスクの方がコスパは良さそうですね。

公式サイトはこちら。