Guitar Rig 5 について【Native Instruments】【レビュー】

Native Instruments の Komplete に付いてくる定番のアンプシミュレーター、Guitar Rig 5 について取り上げてみたいと思います。Komplete を買ったことで持っている方も多いと思うので、どんなものか参考にして頂ければと思います。

Guitar Rig 5 とは

Guitar Rig 5 は、Native Instruments 社製のギター・ベース用アンプシミュレータープラグインです。

複数のアンプモデル、キャビネットシミュレーター、エフェクター類が扱えて、音作りがプラグイン内で完結できるオールインワン型のアンプシミュレーターになります。

発売は2011年で、私が DTM に初めて触れたくらいの頃からある息の長いソフトウェアです。その頃から「5」なので、 Guitar Rig 自体は更に歴史が長いということになりますね。

冒頭で述べた通り、同社の著名なパッケージ製品である Komplete に同梱されているソフトなので、バンド音楽を作らない人も含めた多くの DTMer の方が所持しているのではないかと思います。

そのせいもあってか、プラグインアンプシミュレーター界隈でも特に名前をよく見かける、超定番といえるソフトの一角であるように思います。

なかなか「6」が出ないのは気になりますが、それだけ「5」が完成されているということなのでしょう。

Guitar Rig 5 の特徴と使い方

Guitar Rig 5 の操作画面

こんな感じの GUI です。

画面左でアンプモデルやエフェクター類をブラウジングして、画面右に使用するものをロードしていくという使い方になります。音のルーティングは上から下です。

Komplete 由来のインターフェースといった感じで、一般的な他社のアンプシミュレーターに比べると独特な趣ではありますが、これはこれで使いやすいんですよね。非常に完成されていると思います。

エフェクトのルーティングに関しては結構細かな設定も可能です。(私はあまり使わないので詳細は割愛)

アンプ等の収録数は豊富で、アンプモデルは17個、キャビネットシミュレーターは27個、エフェクターは54個収録されています。エレキギターやベースが絡むジャンルに幅広く対応可能になっています。

実名モデルの収録こそないですが、どの収録モデルも分かる人が見れば大体の元ネタが分かるようにはなっています。

例えば上記の「hot solo+」は恐らく Soldano ですよね。「VAN 51」は 5150 でしょう。

また、プラグインの標準機能としてチューナーやノイズゲート、そしてメトロノームが予め備わっている点も特徴です。当時としてはノイズゲートが結構優秀だったので、私は他のアンプシミュレーターを買った後もノイズゲートだけ Guitar Rig 5 を使っていたりしました。

Guitar Rig 5 の良い点と悪い点

良い点

製品のパッケージングが非常に完成されており、使いやすいです。

チューナーやノイズゲートが予め備わっており、オーディオインターフェースにギターを挿すだけで、あとは Guitar Rig 5 があれば音作りを完成させることができる点。

今でこそスタンダートな仕様ですが、このパッケージングはアンプシミュレーターソフトウェアとしての1つの完成形と言ってしまって過言ではないように感じます。

また、収録アンプモデルが豊富、キャビやエフェクトも豊富、プリセットも豊富で、誰でも簡単にそれっぽいギターやベースの音が DAW 上で鳴らせる点も素晴らしいですね。ジャンルも問わないです。

下述する音質面に目を瞑れば、初心者にも非常に扱いやすくアンプシミュレーターの入門といえるようなプラグインだと思います。

悪い点

古い機材なので仕方ないですが、音質がそこまで良くない事が悪い点として挙げられます。

「デジタル臭さ」を強く感じる情報量に乏しい音で、音の粒がカクカクしており悪い意味で輪郭が硬く、低ビットレート感を感じる音といった印象は拭えません。

立体感や奥行きもあまりなく、ペタッと張り付いた音になりがちです。

全体的にプリセットの味付けが強いのも、デジタル臭さを加工感の強さでごまかそうとしているのだと思います。

発売当時としてはこれでも凄かったのでしょう。商品性も完成されてはいますが、技術進化の速度が非常に速いプラグイン機材の世界、特にアンプシミュレーターのようなリアルさを求める分野では、10年近い古さは致命的な劣後となってしまう部分があると思います。

ネットに上がっているデモ動画などを見ていくと「そうでもないだろ」と思うかも知れませんが、あれらはプロが作り込んでいるから良い音に仕上がっているのだと思います。初心者が Guitar Rig で同水準に近づけるのは容易ではないですし、そのようなプロの領域に到達するまでには他の機材を通ることでしょう…。

まとめ

いかがでしょうか。これが Guitar Rig 5 という製品になります。

総評すると、「Komplete を買ったついでに付いてくるもの」と捉えるなら十分な代物でしょう。使いやすいのでアンプシミュレータープラグインという物がどういった物なのかを覚えるのにも非常に良い製品だと思います。

Komplete のオマケという観点で捉えれば実質無料ともいえるので、コストパフォーマンス的にも初心者のうちに使っておくのに良いソフトと言えそうです。

しかし、10年近く前の製品なので仕方ないとはいえ、現代の基準では音質面はどうしても他製品に劣後してしまいます。

ギターやベースの音にもっと拘りたい場合は他の選択肢を検討するべきです。

とにかく有名な製品なのでネットを見るとおすすめとして紹介されている事も多いですが、そのような品質面の劣後を考慮すると必ずしもおすすめとは言えません。

正直なところ、ただ有名だからおすすめに列挙している…そんな印象を受けるエントリーも少なくないです。「おすすめまとめ」系の記事でサラッと紹介されていることは多くても、個別でしっかりレビューを書かれている記事はあまりないですしね。

その辺りの情報の質も可能ならば見極めて頂いて、Guitar Rig 5 に関しても良い面と悪い面について把握の上で使って頂くとより有意義かなと思います。

参考になれば幸いです。

商品情報

Komplete 通常版以上に同梱されています。