Neutron 3 になって何が進化したのか【レビュー】

iZotope が誇る AI を搭載した自動ミキシングプラグイン、Neutron(ニュートロン) 3 が発売されました。以前 Neutron 2 について記事を書きましたが、Neutron 3 になってどう進化したのかを中心に、レビューしたいと思います。

Neutron 2 の記事はこちら

iZotope Neutron 3 とは

人工知能がトラックを解析して、自動で最適な処理にしてくれることがウリのミキシングプラグイン(チャンネルストリップ)、Neutron シリーズのバージョン3です。

2019年の初夏頃にリリースされました。

前作の2に引き続き、Advanced 版は内包プラグインが個別で使えるなど優位性、使い勝手が高いので買うなら Advanced 版をオススメします。

CPU負荷が軽くなった

Neutron 2 までは CPU 負荷が決して軽くはなかったです。

ミキシングプラグインなので全トラックに挿すこともあり得ますが、そうすると現実的には結構苦しい感じでした。

なので解析した値をコピーして個別プラグインに読み込み直し、大本の Neutron は削除…なんてことをやったりもしていましたね…^^;

しかし Neutron 3 になって、CPU 負荷の改善が図られたようです。

従来の半分くらいの負荷になったとのことで、これでようやっと Neutron をガンガン使っていけるようになりましたね。

ただ実際使ってみた感じ、半分とまではいかない気がしますね…。

Mix Assistant 機能

AIによる自動処理機能が Track Assistant から Mix Assistant に進化しました。

従来の Track Assistant 機能、つまり個別トラックを AI が良い感じにしてくれる機能もこれまで通り使えます。

それに加えて Mix Assistant では、Neutron を挿した各トラック間の音量バランス調整をやってくれる機能が追加になりました。

これが今作の目玉機能とも言われていますね。

トラック感のバランスにおいて調整してくれるのはあくまで音量のみですが、AI が導き出した最適な音量バランスを知ることによって客観的に判断力の向上にも繋がります。

後で聴くと「あれ、ちょっとギターデカすぎたかな?」とか良くあることなので・・・その辺りの解消になりますね。

ちなみに仕様する際は、同梱されてくる「Relay」という解析用のプラグインを挟まないとバグるので要注意です。

Sculptor

Neutron 3 で新たに追加になった内包プラグインに Sculptor というものがあります。

これは、Gullfoss の個別トラック版ともいうべきオートダイナミック EQ ですね。

Gullfoss が結構話題になったので、AI プラグインエフェクトのデベロッパーとしてゴリゴリに意識しているのでしょうかね。

個別トラックにおけるオートダイナミック EQ の用途としては、「存在感の調整」といった感じでしょうか。

トラック解析を使うと、これが初段に入って調整してからEQ、コンプなどの各処理に入っていく感じになります。

この Sculptor があることによって、かなり「整う」感じがします。

Neutron 2 だと、整えるために結構コンプをバツバツにかけて固めていた印象があったのですが、それよりもかなり自然です。

Gullfoss と違って個別トラック向けなこともあり、自分で単体で使うのには若干落とし所が難しい印象ですが、自動ミキシングのクオリティ向上に大きく貢献しているように感じました。

音が良くなった

前項の Sculptor の影響もあるかもですが、Neutron 2 から 3 で、各プラグインや全体的な音質の傾向が若干変化したように思います。

特に、かなり自然になったように感じます。

Neutron 2 時代はちょっと音がギュッと固まる印象があり、多くのトラックに使っていくと暑苦しくなる感じがあったのですが、3ではそういう感じがなく、自然に綺麗になるなと。

それによって、他のトラックとの馴染みが良くなったと思います。この辺着実に進化していると思いますよ。

2では迷った時とか限定的なトラックにしか使えない印象だったのですが、3は良い感じにしたいトラックにガンガン使える印象です。

デジタルっぽい硬さも減ったように思いますね。それによって少し腰の座った質感になったような印象もあります。

UIが変わった

UI がよりビジュアル的というか、直感的かつミニマムになりました。

最初ちょっと戸惑いましたが、慣れると非常に先鋭的かつ合理的なデザイン設計であるように思います。

UI デザインもレベル高し。

まあ、いまのところ慣れている Neutron 2 や Ozone の UI の方が使いやすいんですけどね^^;

ユーザーを多少置いていっても進化させていく姿勢は Apple に通づるものあり、でしょうか。

あと地味に便利なった点として、ウインドウサイズを調整できるようになりました。

まとめ

Neutron 3 になって、結構進化しているなーというのが正直な感想です。

特に音質面や、Neutron でミックスしたトラック同志の音量バランスを最適化出来るようになった面が、かなり実用的になってきたなと感じました。

まあ Relay をいちいち挿すのが面倒臭いとか、CPU負荷はもっと頑張って欲しいとか、欲を言えばまだ改善の余地はある感じですが、好きなソフトが良い方向に進化してくれるのは嬉しい限りです。

Neutron 2 時代より、格段に「買い」のソフトになっていると思います。素人でも良い感じのミックスが作れるという点にかなりコミットしてきた印象。

セールもよくやっていますし、持っていない方は良きタイミングで是非ポチっちゃってください。

商品情報

Neutron 3 Advanved はこちら(Advanced推し)

O8N2(Ozoneとのバンドル)は O8N3 になるのかと思いきや、Mix & Master Bundle と直球な名前に変わってました。笑

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