ツインギターを綺麗に鳴らすためのミキシングテクニック

ギターをカッコよく鳴らすためのテクニックとして、トラックを左右に振り分けてツインギターとする方法があります。バンドでもギターが2人いることが多いですよね。今回は DTM のミキシングでツインギターを綺麗に鳴らす方法についてご紹介します。

ツインギターが綺麗に鳴らない?

DTM でツインギターを作る場合、1つのギタートラックを複製して L と R に振り分けただけではうまく鳴らないことがあります。

試しに、丸コピペして左右に振ったギターを再生してみると分かると思いますが、左右に振ったはずなのに真ん中で鳴っているように聞こえたりします。

これは何故なのかというと、L と R の成分に差分がない状態だと、センターで鳴っているのと同義になってしまうからです。

詳しい理屈は音響学などを調べていただくとして、とりあえずそういうものなんだと思ってください。

つまり、ツインギターを表現するためには、左右に振り分けたギターの波形成分が異なっている必要があるんですね。

では、具体的にどういった方法で左右のギターに差分を付けていく事が出来るのかを紹介したいと思います。

左右で音作りを変える

L と R でそれぞれのギターの音作りが異なっていれば、当然それぞれの波形の形にも差分が出てきます。

ギタリストが2人いる場合だって、音作りが全く同じということはないですよね?つまり左右の音作りが異なっていたほうが純粋に質感もリアルになります。

具体的には、左右でアンプシミュレーターのセッティングを変えましょう。アンプモデルやキャビネットから変えるのが良いですが、つまみのセッティングやキャビネットシミュレーターのマイクポジションを変えるだけでも効果があります。

アンプからマイク録りする場合は、2本のマイクで録音して左右に振り分けるなど。

既にアンプの音で録音されたor書き出された状態のソースしかない場合は、後段の処理でコンプや EQ の設定を変えると良いと思います。

左右でタイミングをずらす

位相の干渉を回避するときにも使えるテクニックですが、左右でタイミングを少しだけずらすことで差分を発生させます。

タイミングをずらすことによって、時間軸に対する波形の形が変わります。元は同じ波形でも、「今この瞬間に鳴っている部分」が異なるので、波形に差分が生じているのと同じ事になるという理屈です。

片方にだけショートディレイを掛けるというようなやり方でもOKです。

これは結構効果が高いので、手っ取り早くツインギターっぽくしたいなら有効な手段といえるかも知れません。

ギター音源やアンプシミュレーターにマルチトラック機能(ダブリング機能)が付いている場合がありますが、大抵はこの原理を使用しているものです。

2回弾く、2回書き出す

一番原始的ですが、一番確実なのがこれです。

単純に2回弾いて録音し、L と R に別々の波形を用意してやれば良いわけです。

自分で2回弾く場合、同じフレーズであってもそれぞれの録音物が全く同じ波形データにならないことは想像に難くないと思いますが、ギター音源に関しても実は効果があります。

ギター音源では、同じ設定・同じフレーズでも2回書き出して別々の波形ファイルを用意してやれば、かなり効果があることが分かると思います。とはいえ、出来れば書き出す時に左右で音源の設定を変えるか、左右で違うギター音源を使って書き出すなどして出来る限り差分を大きくしてやると尚良いですけどね。

まとめ

ちなみに、「ダブリング効果を良い感じに演出してくれるプラグイン」のようなものもあります。Waves Doubler などですね。

このようなプラグインを使って手っ取り早くそれっぽくしてしまうのも手ですが、今回紹介したような形で手動で差分を作っていくのとは質感が結構異なってきますので適材適所で使うと良いでしょう。

メタルなどのギターの迫力を全面に出すジャンルではツインギターって結構必須になってくると思います。ギターで音の壁を作るという意味でもそうですし、ボーカルやスネアなど大事なトラックが多くいる中音域で他を殺さないようにしつつ迫力を出すためにも、左右に振ることが重要になってきます。

でも、やり方を知っていないとうまく出来ないもんなんですよね。私も DTM を始めた最初の頃はどうなっているのか全く意味がわかりませんでした。今ではツインを超えて4本重ねていますが…笑

そもそもツインギターなんていう発想がなかったという方もいるかも知れませんが、この機に是非取り入れてみてはいかがでしょうか。