Studio One のヒューマナイズを使ってドラムに表情を付ける方法

Studio One に搭載されている「ヒューマナイズ」という機能を使って、打ち込みドラムにゆらぎや表情を付けるテクニックを紹介したいと思います。

ヒューマナイズとは

ヒューマナイズ(Humanize)を直訳すると、「人間化」となります。

何だそれは?という感じですが、DTM 用語としてのヒューマナイズは、MIDI の打ち込みに人間的なゆらぎを与える機能のようなもので、各種 DAW やシーケンサー、ソフト音源などに搭載されている場合があります。

私がメイン DAW として使用している Studio One にもヒューマナイズ機能が搭載されています。(古いバージョンには搭載されていないようです)

Studio One におけるヒューマナイズとは

各種シーケンサーによって細かい機能や仕様が変わるかも知れませんが、その辺りを全て把握しているわけではないので、Studio One に絞って具体的にどんな機能なのかを書きたいと思います。

Studio One におけるヒューマナイズ機能とは、具体的には打ち込まれた MIDI ノートに対して、ベロシティとタイミングをランダムに散らす機能となっています。

それって意味あるの?

まあ言ってしまえばそれだけなので、実際のところは人が演奏したような、演奏者が出すようなノリやその人のクセみたいなものがリアルに出るわけではありません。

「人間化」と言ってはいますが、ランダムに散らすだけで必ずしも人間っぽくなるわけではないのが実際のところではあります。

とはいえ、少し散らすだけでもベタ打ちよりは格段に表情を豊かにすることが出来ます。

特にドラムに有効だと思っているので、Studio One でドラムにヒューマナイズを適用するやり方を紹介していきます。

Studio One のヒューマナイズを使ってドラムに表情を付ける

ベタ打ちで Dビート を打ち込んでみました。

こちらにヒューマナイズを適用するのには、ノート選択した状態で、画面上の「アクション」(矢印部分)をクリック、またはノートを右クリックして、出てきた項目から「ヒューマナイズ」を選択します。

そうすると下記のような画面が出てきます(Studio One 4 以降)

「ベロシティ範囲を追加」「ノートスタート範囲を追加」それぞれ、ベロシティとタイミングをランダムに散らす量を設定できます。

この機能が結構便利です。所詮ランダムに散らすだけなのでやりすぎるとただバラバラになってしまうだけなので、丁度良い塩梅に自分で調整できるのが良いです。しかも簡単操作。

で、適用してみたのが下記。

ベロシティのところを見ていただくと分かりやすいですが、ベロシティの大きさ、タイミングともに均一でなくなっているのが分かるかと思います。

これでヒューマナイズ機能の利用が完了となります。

あとは手動で細かい調整を適宜すればOKです。不自然になってしまった所だったり、音源によってはベロシティの閾値でサンプルが切り替わって別の音になることがありますので、そういうのを耳で聴きながら見つけて修正していきます。

ビフォーアフター

上記のヒューマナイズを適用する前後の音を書き出してみました。音質は絞っていますが(WEBページに貼り付けると重いので)参考までに。

▼ヒューマナイズ適用前(ベタ打ち)

▼ヒューマナイズ適用+修正後

いかがでしょう。ヒューマナイズ適用後の音源はわずかに「散らされている」感じ、微妙なブレが出ている感じが分かるのではないかと思います。

オケに混ぜるとこれだけでも、このブレによってゆらぎや表情が生まれ、質感の豊かさや情報量がプラスされると思います。

やりすぎ注意

Studio One のヒューマナイズ機能を使う際の注意点としては、先にも少し書きましたがやりすぎないことです。

ヒューマナイズ(人間化)といっても所詮ランダムに散らしているだけなので、厳密には別に人間っぽくなっているわけではないですからね。散らしすぎるとただバラバラな感じになってしまうだけになります。

上記の参考音源でもあからさまにはやっていないことが分かるかと思いますが、あくまでナチュラルに、微妙にブレを生じさせることによってゆらぎや情報量を付加してやるイメージで使うのが吉です。

まとめ

いかがでしょうか。特にドラムにこのような散らしを適用する場合、同時に打つパーツのタイミングが所々微妙にずれることによって表情が大きく出てきますので、効果が分かりやすいと思います。

なので、今回のサンプルではやってませんがタムを使ったフィルなどにも効果抜群です。ブラストビートにも効果抜群です。

私が作っているようなメタルやラウド系のドラムでは殆どの打音がフォルテになるので、音作りやミキシングをうまく作っていければベタ打ちに近い形でもそれっぽくはなるのですが(逆にリアルでは機械のように正確に叩けるドラマーが好まれたりします)、その上でも打ち込みドラムに質感を足すというのは価値の高い行為です。

今回 Studio One で紹介しましたが、他の DAW にも恐らく同じような機能は搭載されているはずですので、使える方は是非ヒューマナイズを利用してみてください。

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