【iZotope】Nectar Elements レビュー【かんたんボーカル処理】

Nectar って知っていますか?濃厚な桃ジュースのことではなく、iZotope による AI 搭載のボーカルプロセッサーです。今回はその入門用の Nectar Elements を紹介したいと思います。
Plugin Boutique の購入者特典となっていた時に運良くゲットできました…🙏
iZotope Nectar Elementsとは
Nectar は iZotope のボーカル補正用ソフトです。補正というかミキシング処理の最適化をしてくれるソフトですね。
同社の Ozone や Neutron 等と同じように、AI が解析して自動でいい感じにしてくれる系のチャンネルストリップになっています。(Elementsだと微妙にチャンスト未満といった感じですが)
「Neutronでいいじゃん」ではなくボーカル単体でソフトが切り出されるあたり、ボーカルってやっぱり大事なんですね。上位版は Melodyne や RX と連携できたりして結構気合入っているみたいです。
Nectar Elements は、iZotope ユーザーならお馴染みの名前かも知れませんが、Nectar シリーズの中の最廉価グレードになります。今回無料で入手できたとはいえ、それでも本来は定価1万円以上します。
Nectar Elements の機能と使い方
使い方…といっても特筆すべきことは殆どありません。
機能としてはほぼ AI による自動処理の Vocal Assistant のみになりますので、ユーザーがやることとしては数回クリックするだけです。
立ち上げたら有無を言わさず下記の画面が。
これは iZotope ユーザーにはお馴染みの Assistant 機能が始まる画面ですよね。
仕上げの傾向を選んで、「Go→」を押すだけです。
処理が終わると下記の画面が出てきて、これで完成です。
とりあえず色々な処理がされているであろうことが分かりますね。
一応この状態から自分でパラメーターを調整することも出来ます。
ちなみにこれは Elements ならではの GUI と思われますが、非常にシンプルで分かりやすいですね。パラメーターは直感的な理解が可能な感じです。
なお、今回のサンプルで適用してみたソースがボーカロイドだったのですが、そのせいなのか今回はピッチ補正やディエッサーは掛かっていませんね。
Nectar Elements、結構いい感じ
適用してみた質感ですが、これがなかなか良い感じでした。
まずダイナミクスが非常に綺麗かつ自然に整いました。これだけでも自分でやるのは結構難しいと思います。
それから声にハリが出てきてシャキっとした感じがしました。「気持ちの良いボーカル」になる感じがして単なる補正だけではなく色付けも最適化されるっぽいですね。といっても勿論あくまで iZotope らしく余計な味付けはなくて自然な感じです。
ボーカルにフォーカスした補正やミックス処理ってそう言えば殆どやったことなかったなと思ったのですが、ああなるほど専門的な処理をやったほうが良くてそれで結構変わるんだなと感じた次第でした。
たなぼた的に良いものを入手した感…。CPU負荷も思いのほか軽めです。
Nectar Elements のデメリット
デメリットとしては、レイテンシーが大きいのが玉に瑕ですね。
まあ、別に Nectar に限った話ではないのですが、iZotope の自動処理系プラグインってどうしてもレイテンシーは大きくなりがちです。
適用したらボーカルがあからさまに遅れてやってくる感じになってしまったのですが、Studio One のパフォーマンスモニターを見てみたらなんとレイテンシー 63.9ms という数値が出ていました。
うーん結構な遅延ですね。。
Ozone なんかはもっと遅れたりしますが、あちらはマスタリングに適用するので別に遅れても問題ないのですが、単体トラックにこれだけのレイテンシーが発生したらリズムが合わなくなってしまいますね。
これ似関しては、DAW 側で適宜調整する形になるかなと思います。
Studio One であれば、トラックのディレイタイムをマイナスに設定することで一応回避できます。他のやり方としては、オーディオ波形を少し前にずらすなど。
PC のスペックやプロジェクトデータ全体の負荷具合によっても変わってくるのかも知れませんが、とはいえレイテンシーはもう少し改善を望みたいところかなと思いました。
まとめ
正直なところボーカル補正用ってピンポイントすぎる感じがして iZotope の中でも Nectar は全くのノーマークでした。
しかし使ってみたら入門用の Elements とはいえかなり良い感じでびっくりです。
細かい事は気にせずにお手軽にボーカルトラックをいい感じに出来るというのが結構素晴らしくて。とりあえずボーカルには挿しておけばOKという感じですね。
iZotope 製品って廉価グレードの Elements でもクオリティはしっかり高いので、Nectar なり RX なり、そこまでガッツリ使い込む予定のないものは Elements でも全然良いと思います。
使う機会が増えてきたらアップグレードすれば良いわけですしね。割と頻繁にセールもやっていますので。