DTMにグラフィックボードは必要?【PC】【GPU】

DTM用パソコンのお話。パソコンの部品にグラフィックボードというものがありますが、グラフィックということで音楽とは一見無縁に感じます。しかし実際は装備しておいたほうが良いので、今回はその辺りを詳しく解説します。

グラフィックボードとは

グラフィックボード、通称グラボ、別名ビデオカードなどといいますが、CPU やメモリなどと同じくPC を構成するパーツの1種です。

映像の出力に関する部分を司る部品ですね。グラフィックボードには GPU というプロセッサが搭載されています。

PC ゲームをする人や 3DGC を制作する人なんかだと、より高性能な描画性能を求めて高額なグラフィックボードを求めたりしていると思います。

しかしグラフィックボードの場合、PC を起動するのに必ず必要というわけではなくて、安い PC にはそもそも搭載されていなかったりします。

DTMにグラフィックボードは必要か?

上述のように、グラフィックボードとは無くても動く映像用のパーツですが、それが果たして DTM に必要なのでしょうか?

結論を言うと、「絶対必要とまではいかないがあった方が良い」という感じになります。

無くても動くは動くため、無いと DTM ができないというわけではないです。

とはいえ、DTM中の快適な動作を求めるとほぼほぼ必要になってくるんですよね。

そこのところを詳しく掘り下げていきたいと思います。

グラフィックボード導入のメリット

何故グラフィックボードがあったほうが良いのでしょうか?

それは以下のような理由からです。

CPU負荷の軽減

グラフィックボードが無くてもパソコンは動きますが、その場合は CPU が代わりにグラフィックボードの役割を担う形になります。(オンボードと言います)

つまり、そのぶんだけ CPU に負荷がかかってしまうということになります。端的に言うと、グラボがないと映像に限らずに実質的なスペックが落ちてしまうということです。

CPU は、DTM をやる上でもプラグインを同時に多数動かしたり、録音時のレイテンシーを詰めたりするのにとても重要な部品ですので、極力余計な負荷はかけずに性能をフルに使える状態にしたいものです。

映像の描画をグラフィックボードの GPU に担わせることによって、そのぶんの処理領域を CPU に明け渡すことが出来るわけです。

DAWの処理落ち防止

DAW 内でもプラグインのアナライザーやメーターが動的に動く際に、映像の描画が発生しています。動く格好良い GUI のプラグインなんかもありますよね。

上述の通りグラボがないとこのような描画も CPU で行うわけですが、スペックにあまり余裕がないと意外とこれで DAW が落ちたり固まったりすることがあるんですよ。。

別に大した描画じゃないだろとか思ってしまうんですが、それでも少なからず影響は出ているということですよね。複数動かしていると尚更。

このような場合、例えば CPU を Core i7 から Core i9 にグレードアップするよりも、安いグラボを入れれば回避できる可能性がありますからその方がコストパフォーマンスが全然良いわけです。

マルチモニタに対応できる

ある程度まともな性能のグラフィックボードがあればモニターを複数繋ぐことが出来ます。

モニターを3台以上設置するようなガチ環境を構築したい場合はそれに対応した(=接続端子が複数ついている。大体は複数付いています。)グラフィックボードの導入が必要になってきます。

ちなみにモニター2台くらいなら殆どの PC がオンボードでも出来ますが、ただしそのぶん CPU 負荷が増えるということになりますのでやはりグラフィックボードの導入はしたほうが良いです。

DTMに必要なグラフィックボードのスペック

つまるところ、DTM 目的でのグラフィックボードの役目というのは、映像描画を CPU にさせないことで負荷を軽減する、という意味合いが最も強いです。

したがって、こと DTM 用途においてはグラフィックボードそのものの性能よりも、とにかく搭載されていること自体が重要という感じです。

なので極端な話、DTM 目的なら、とりあえずグラフィックボードは搭載さえされていればスペックはそこまで気にしなくても良いです。

とはいえ近年は動画の時代なので、音楽だけでなく動画の編集にも力を入れたいという人は少し奮発しても良いかも知れませんね。

もしこだわるなら、純粋にスペックを上げるか、DAW や動画編集ソフトと相性の良い Quadro を選ぶと良いかも知れません。詳しくは下述します。

おすすめのグラフィックボード

この世界も上を見るとキリがないですが、DTM 関連で調べている方向けに現実的な、おすすめのものを紹介させていただきます。

Geforce GT710

安価なエントリーモデルです。とりあえず何かしら搭載しておきたいという時はこれで良いかと思います。

GT710搭載のグラフィックボードはいくつかのメーカーから出ていますが、MSI か玄人志向が特に安く、5000円以内で何とかなります。

Geforce GT730

上記の Geforce GT710 では安すぎてさすがに不安だという場合は、こちらの GT730 を選ぶと良いと思います。

場合によっては安すぎるグラボを入れたらかえって画質が悪化することもありますからね(グラボを入れるメリット自体は揺るぎませんが)

ギターに例えるなら、GT710 が Playtech で GT730 が Squier みたいな感じのイメージです。予算は1万円前後となります。

NVIDIA T600 / T400(旧Quadro)

NVIDIA の T シリーズ、以前は Quadro という名前でしたが、こちらは一般的にクリエター向けとされているモデルになります。

安定描画に強く、制作ソフト系に多く用いられる OpenGL という規格に最適化されているため、DAW や動画編集ソフト、Photoshop などと相性が良いとされています。(※)

以前本記事でおすすめしていた Quadro P620 の後継機種が T600, その1グレード下が T400 となります。

引き続き T600 をおすすめしますが、世代が新しくなりスペックも上がっているので、T400 も選択肢に入ってきます(T400 で Quadro P620 に肉薄するスペック)

T600、T400 とも基本的に高額な本シリーズの中ではエントリーグレードになりますが、DTM 用途ではこの辺りで十分であり、コスパも考慮すると最適解になってくると思います。

(※)Cubase に関してはグラフィック規格が DirectX というもののため、Quadro よりも GeForce 系の方が相性が良いです。

まとめ

ということで、DTMer 目線でのグラフィックボードの話でした。DTMer 的には、どんなものでもグラボが搭載されていること自体がメリットという感じですね。

自分でグラフィックボードを交換する場合は、デスクトップ PC の中を開けて基盤にボードを差し込むことになりますが、意外と簡単なので説明書に従って作業すればOKです。

予めハイスペックなパソコンを購入すると何かしらのグラフィックボードが付いているとは思いますが、どんな物がついているのか、良かったら気にしてみてください。

ノートパソコンや Mac の場合は改造は難しいですが参考までにして頂ければと思います。