Waves SSL 4000 Collection レビュー【Waves 最高傑作?】

Wavesの傑作プラグインバンドル、SSL 4000 Collectionをレビューします。Waves製品の中でも最高傑作と言われることもある本製品ですが、最近はセールで安く入手できる機会も増えましたので、気になっているDTMerの方も多いのではないでしょうか。
SSL 4000 Collection とは
アナログコンソールの名機である、SSL 社の 4000 シリーズをモデリングしたプラグインのバンドルです。
含まれる内容としては、コンソール卓の1チャンネルを切り取ったチャンネルストリップが2種類、EQ が1種類、コンプレッサーが1種類です。
チャンネルストリップは有名な E チャンネルと G チャンネルの2種類ですね。GUI や操作方法は似ていますが結構音が違います。
EQは、G チャンネルの特徴的な EQ を切り取ったものです。
コンプは、有名な Glue Compressor と言われるバスコンプになります。
かつて中田ヤスタカ氏も愛用していたという噂がありますね。
どのような目的で使うものか
この手のアナログモデリング系のチャンネルストリップなどって、何に使うものなのでしょうか。
かつては私もその辺りがよく分かっていませんでした。
答えとしては、質感付加や味付け、音作りです。
SSL コンソールを使用してミキシングをすることで得られる質感を、DAW 上で再現できるという点です。(勿論全く同じにはなりませんが)
ぶっちゃけ無くても支障のあるものではありませんが、所持し使用することで、「良い感じ」の音に仕上げることが出来ます。
どんな素材も豊かな質感に
SSL 4000 Collection を用いてミックスすることで、どんなトラックに対しても素材の良さを活かしたまま、質感を底上げしてくれるような感じがします。
Wavesプラグインらしく軽量なので、全てのトラックに挿してガンガン使っていくことが出来るのも素晴らしいですね。
以下、各プラグインごとに紹介していきます。
E-Channel & G-Channel
本バンドルの実質メインディッシュでしょう。
フィルター、EQ、コンプ、ゲート/エキスパンダーがセットになったチャンネルストリップです。
前述の通り、どんな素材にも使えて、総合的に質感を良くしてくれますので、全てのトラックに挿して使っていけます。
EチャンネルとGチャンネルで音の傾向に違いがあり、Eチャンネルは太めでしっかりした音に、Gチャンネルはやや細いものの高域が綺羅びやかで美しいです。
基本的にはEチャンネルをメインに使いつつ、特性が活きそうな時にGチャンネルを試してみる感じかなと思います。
私の場合、ギターベースはEチャンネル、ドラム(スネアやキックも含む)はGチャンネルを愛用しています。
G-Equalizer
上記の G-Channel の EQ 部分を抜き出したものです。
Gチャンネルの特徴にもなっているこの EQ は少し特殊で、ブースト / カットを強くすればするほど、Q 幅が狭くなっていきます。
これが非常に音楽的な音質変化を生むとのこと。
個人的にはこれ単体で使うことはあまりないのですが、G-EQ の好きなところとしては、金物類を超高域をブーストした時の綺羅びやかさが自然で美しいところです。
G-Master Buss Compressor
バスコンプや、Glue Compressor と言われる、バストラックに挿して各トラックをまとめる役割で使用するコンプレッサーです。
他のプラグインに比べても味付け濃いめでいわゆる「Wavesのアナログ感」が強いですね。
バストラックがモチッと気持ちよくまとまってくれます。
ハイパスサイドチェインのような、最近にプラグインにある便利機能はないので、少し使い所は限られてきますが、非常に良い感じのバスコンプであることは間違いないです。
個人的にはギターのバスにこちらを挿すことが多いです。
アナログスイッチについて
各プラグインともに、ANALOG というパラメーターの ON/OFF が設定できます。
いわゆる Waves のアナログスイッチですが、これはアナログ機材に発生するようなノイズを付加するものです。
あくまでノイズが乗るだけで、アナログ的な質感を強めるものではないので要注意。
多くのトラックに挿してONにしておくと、ノイズが二次関数的に大きくなっていきますので、基本的にOFFにしておくことを推奨します。
まとめ
近年は Plugin Alliance や Softube などからより高価で高品質なプラグインが出ています。
しかし、10年以上前の製品である SSL 4000 Collection も、未だ現役で活躍できるプラグインです。
これって凄くないですか?さすが最高傑作と言われるだけのことはありますよね。
軽量でCPUを気にすること無く使え、最近は安価になってきていることもあり、むしろ初心者や中級者や趣味フェーズのDTMerにとっては、この手のプラグインの中で最も現実的かつ確実な選択肢と言えるのではないでしょうか。
コンソールエミュレーターを試してみたい方はまずは SSL 4000 Collection から始めてみてはいかがでしょうか。きっとミックスのレベルを一段階底上げしてくれるでしょう。