DAWで音は変わるのか検証。FL Studio vs Studio One 【ミックス比較】
使用DAWによって同じセッティングでも音が変わるのか、Studio OneとFL Studioで実験してみました(視聴サンプルあり)。面白い結果になりましたので興味のある方は是非ご覧ください。
DAWで音が変わるってマジ?
ときどきネットで見かける DTM 論争として、「DAWで音が変わるか否か」的なものがあったと思います。
私としては、DTM を始めたばかりの頃に 「DAWでは音が変わらない派」のエントリーを読んで、以降それを信じていました。(そのエントリーのソースは忘れてしまいました…)
しかし、Studio One が 3 にアップデートされた時に、音が良いという評価を各メディアで見かけることになりました。やや懐疑的だったものの、一方でやっぱり音が良いと言われると気になってしまうのが DTMer の性というもの。
その後、色々あって Studio One を所有することになりましたので、それ以前から所有していた FL Studio と同じ条件で書き出してみて、音の違いが発生するのかを試してみることにしました。
比較した音源がこちら
ということで比較してみたものを掲載させて頂きたいと思います。
詳しい比較条件は下述しますが、こちらの音源、全く同条件で書き出してみたものになるのでご確認いただければと思います。
前が FL Studio、後が Studio One になります。
いかがでしょう。結構違いますよね。
比較条件について
今回比較したのはミキシング。
実験とした曲データですが、FL Studio でソフト音源の打ち込みを、Studio One で録音物の録音を行い、全てを一旦 wav に書き出しました。
そして、それぞれトラックをそれぞれの DAW に読み込んで、Waves のプラグインを用いて全く同じ設定でミックスを行い、書き出しました。
DAW 標準のプラグインでミックスしてしまうと、そのプラグインの違いがメインに出てしまうので、プラグインはサードパーティの Waves 製で統一としました。これで DAW 本体の部分のみを比較できるイーブンな条件になったはず。
なお、レコーディングも試しましたが、ディストーションギターのライン録りではそこまでの差は感じられなかったです。
録音に関しては、DAW 云々以前にインターフェースやケーブルや、その他周辺機器の影響が色々と複合的に出てくるものかと思いますので、まあそんなもんかなと。ちなみに REC 周りののユーザビリティは圧倒的に Studio One の方が使いやすいです。
比較してみた所感
上記条件で作成したそれぞれの曲データを聴き比べたインプレッションですが、結論から言うと、結構違いました。
感覚的な印象でいうと、FL Studio はユーロな感じで、Studio One はアメリカンな感じ。
一番差がでたのがブレイクダウン入りのベースドロップ「ドゥゥゥーン」のところ。
前者の方が混ざり具合が良くスムースな感じ、後者は分離感が良くドカーンという感じが良く出ていますね。
それぞれの音にはっきり色があって、特に低音のまとまり方が違ってくるなという所感でした。
FL Studio
スマートでスッキリしています。特に低音はタイトにまとまり余計な広がり感がありません。且つベースラインも聞き取りやすい。
高音はちょっとだけツンとしているのでついついリバーブを深く掛けたりして音を柔らかくしてしまいたくなります。というかそれが自分のスタイルになってきたわけだけど、FLのせいかもしれない。
それから標準で刺さっているFruity Limiter、これは安っぽい刺さるような音になってしまうので外しましょう。
Studio One
こちらは結構ダイナミックな感じに低音が前に出てきます。低音のヌケと分離感が抜群に良い。
低音が前に出てくる分ちょっと広がる感じはあるので、締めたいならFLの方が良さそう。逆に攻めたい、レンジ感を感じたいならこちらかなと思います。
ドラム系に関しては逆にこちらの方が優等生な感じがします。 FL Studio の方がダイナミックに感じたのですが、でも綺麗にまとまりやすいのは確実に Studio One でしょうね。
一番差を感じたのは低域の質感になりますが、それに加えて Studio One は脱線しにくいというか、どう転んでもそれっぽく纏まってくれる安定感みたいなものを感じました。
ちなみにStudio One 4 になって若干質感が変わりましたが、概ねの傾向は一緒に感じます。個人的にはほとんど気にならないのですが、Twitterなどを見ている感じでは、Studio One 3 の音の方が人気(=4で音が悪くなったという意見が多い)みたいですね。
まとめ
自分の耳だとこのくらいの所感になりますがいかかでしょうか。ある程度は参考になるのではないかと思っていますが…笑
結果としては、明らかにDAWによって音が変わるという事がわかりました。
よく考えてみれば、違うメーカーがそれぞれ作った製品の内部の処理が全く同じであるはずもないので、まあ、そりゃそうだという感じでしょうか。
DTMerにとってのDAWは、ギタリストにとってのギター、ベーシストにとってのベースみたいなものだと思います。
それらも機種によって音は変わりますものね。
ただ実際問題、音の傾向を考慮してDAWを選ぶのが現実的かというと、必ずしもそうではないようにも思いますので、結局は好きなDAWを選べばよいのではないかとは思います。